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「主、失礼するよ」




「ええ、どうぞ」







歌仙は静かに襖を開けた
だが、Aは背を向けたままだ






「…歌仙。
今日、私が時の政府に呼ばれた時に、言われたのです。
私の本丸の刀剣たちは、これからだんだん消えていく…
どう、しましょうか」





筆を一度置き、震えた声で言う彼女




「…これは驚いた、
笑えない冗談だね、君にしては」





歌仙の乾いた笑いが少し響く





「……嘘では…嘘では、ありません!
…私、これからどう、すれば…」







やっと歌仙と向き合った彼女の顔は、涙で濡れていた






「…取り敢えず、明日の朝に皆に報告した方が良いんじゃないかな。

この事実は悩んでも変わらないんだし」




歌仙は彼女の近くに行くと、
抱き締めて背中を優しく摩った







「…大丈夫さ、僕がいる。
君を守ってみせるから」






まるで赤子をあやすかのように、優しく語りかける歌仙

それを切っ掛けに、彼女のすすり泣きは大きくなった









そして翌日、皆に真実を伝えることにしたのだった____


が、時すでに遅し




短刀達が数人、消えてしまっていた
…跡形も無く




緊急で皆を集め、事態を説明をした





「私には何もできません。
ただただ、貴方達が消えていくのを
指をくわえて見ている事しか、出来ないのです。
…本当に、申し訳ないです」



彼女は涙を流し、静かに謝った



____歌仙以外の者に見せる、初めての涙だった

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作者名:なゆらー | 作成日時:2017年12月27日 17時

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