嶺 ページ4
「主、失礼するよ」
「ええ、どうぞ」
歌仙は静かに襖を開けた
だが、Aは背を向けたままだ
「…歌仙。
今日、私が時の政府に呼ばれた時に、言われたのです。
私の本丸の刀剣たちは、これからだんだん消えていく…
どう、しましょうか」
筆を一度置き、震えた声で言う彼女
「…これは驚いた、
笑えない冗談だね、君にしては」
歌仙の乾いた笑いが少し響く
「……嘘では…嘘では、ありません!
…私、これからどう、すれば…」
やっと歌仙と向き合った彼女の顔は、涙で濡れていた
「…取り敢えず、明日の朝に皆に報告した方が良いんじゃないかな。
この事実は悩んでも変わらないんだし」
歌仙は彼女の近くに行くと、
抱き締めて背中を優しく摩った
「…大丈夫さ、僕がいる。
君を守ってみせるから」
まるで赤子をあやすかのように、優しく語りかける歌仙
それを切っ掛けに、彼女のすすり泣きは大きくなった
そして翌日、皆に真実を伝えることにしたのだった____
が、時すでに遅し
短刀達が数人、消えてしまっていた
…跡形も無く
緊急で皆を集め、事態を説明をした
「私には何もできません。
ただただ、貴方達が消えていくのを
指をくわえて見ている事しか、出来ないのです。
…本当に、申し訳ないです」
彼女は涙を流し、静かに謝った
____歌仙以外の者に見せる、初めての涙だった
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なゆらー | 作成日時:2017年12月27日 17時