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平日なのもあって人は疎ら。確かに土日じゃ学生さんたちも多いだろうし、拳くん顔出してるから視聴者さん達に見つかったら大変だもんなぁ。
「どうしたの？楽しくない？」
「ううん！ごめんごめん、拳くん私なんかと一緒に歩いてて大丈夫なのかな…って少し心配になっただけ」
「どういうこと？」
「だって拳くん、動画出演やテレビ出演とかしてるしQuizKnockメンバーの中じゃ顔知られてるし、ファンも多いじゃない？私もQuizKnockで働いてるけど、完全裏方だし名前すら知られてないだろうけど…」
「…だから？」
いや、だから…って…、もしこの場にファンの女の子とかが居たとして、私なんかと歩いてたらあらぬ噂流されちゃうでしょ。そうなったら困るのは明らかに拳くんなのに…そういうところ無頓着なんだから……
「とにかく！これ被って！拳くんってバレないようにしないと！」
「っわ！ちょっとA待ってよ〜！」
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「見てみて！ペンギンが並んで歩いてる！」
「ほんとだ〜！ちゃんと整列してお利口さんだ〜」
「可愛いねえ」
28歳男性が、ペンギンを見てこんなにもはしゃげるものなのかな？ペンギンさんたちより、拳くんの方が可愛いと思ってしまったのは内緒。オフィスやテレビで見る拳くんとはまた違う顔。
「まぁ、一番はAが可愛いけどね」
「え、ペンギンの方が100倍可愛いよ？」
「100倍は言い過ぎでしょ」
…あまりにも突然、サラッと可愛いなんて言うもんだからこっちがびっくりする。拳くんってこういう事スラスラ言えちゃう人だったっけ？
「Aの方が可愛いと思うけどなぁ」
……敢えて聞こえなかった振りをしておこう。変に意識しないしない！
ペンギンの餌やり体験を終えた後は、案内に従って館内を練り歩く。たくさんの水槽の前で様々な種類の海の生き物を見ながら、水族館より詳しい拳くんの解説を聞いて回る。楽しかった時間も終わりに近づいて、私たちは水族館を後にした。
「楽しかったね！水族館」
「シャチのショーとか迫力ありすぎて驚いたよ。シャチって芸覚えられるんだ」
「ねー！私も初めて見たよ、シャチショー！」
私のついでにお弁当作ってただけなのにまさかこんな楽しい時間を貰えるなんて。改めて拳くんにお礼を伝えた。
「拳くん今日はありがとう！とっても楽しかったよ！」
「いえいえ、楽しんでもらえて何より」
「また行こうね！」
「…うん。また行こ」
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作者名：ひなた | 作成日時：2021年9月19日 10時
