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覚えのない指の運びの正体 ページ8

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伊沢さんから、山森さんという女の方を紹介され後日試しに会って話を聞かせてもらえる事になった。

『少しずつうちのこと知ってもらって、興味持ってくれたら嬉しいな。花岡さんが来てくれるの、うちはいつでもウェルカムだから』

会社で言うところの『試用期間』みたいなものだ。と説明されたが、QuizKnockとしては私を拒む理由なんか無いから、気軽に山森さんに色々話聞いてみて。との事


そこまで期待されるような人間だったかな、私?
些か疑問は残るものの、きっと伊沢さんの中で何か思いあたる事でもあるのだろう。折角の良い機会だ。私も存分に話を聞かせてもらおう。



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アポ当日。
今日は生憎祥彰はクイズ仲間での予定が入っていたみたいで同席は叶わず。私一人で大丈夫か、なんて随分心配していたけど流石の私も女の人なら全然大丈夫だ。

心配性な弟を持つと案外面倒臭いな、なんて祥彰の前では絶対に言えない事を口走っていると一人の女性がパタパタと駆け寄ってきた。



「遅れてすみませ〜ん!!電車、乗り遅れちゃいました…!」

「あ、いえいえ!来たばかりでそんなに待ってないので大丈夫ですよ」



ゼェハァ、と膝に手をつき肩が上下している目の前の女性は、山森さん。QuizKnockで唯一の女性で、記事校閲などの編集業務を担当している、と伊沢さんから話を聞いていた。

軽くお互いに自己紹介をしながら近くのカフェへと入った。





「花岡さん、クイズ経験あったりするんですか?」

「いえいえ、全然!祥彰がやってるのを横目に見てただけで私自身は未経験です」

「わっ、じゃあ私と同じだ!良かった〜、オフィスじゃ伊沢さんたちがクイズの話ばかりでいつもついていけなかったんですよ〜」



……何だか、既にQuizKnockのメンバー入りしているかのような流れだけど……まぁ私としても断るつもりは無かったからこれはこれでいっか。



目の前の紅茶をひと口啜ると、店内に置かれたピアノで唐突に演奏が始まった。海外でよく見るけど日本にもああやってお店のピアノで演奏して客をもてなすなんて事、あるんだ。

気付けば目線がそちらに行っていて、無意識のうちに指が机を叩いていた。



「花岡さん、ピアノ弾けるんですか?」

「はっ、ごめんなさい…お行儀悪いですね…」

「ああ、いえいえ!気にしないで!」



それにしても…今までピアノなんて弾いたこと無いのに…私自身、ピアノを弾けることも知らない。
もしかして、失くしている記憶の一部なのかな…




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設定タグ:QuizKnock , クイズノック , 福良拳   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:りんご | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年7月29日 19時

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