まだ届かない真実 ページ9
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ピアノの話から、話題は好きなアーティストの話へ。普段これと言って特定のものを聴いたりしない私だけど、一つだけ気になっていたアーティストがいた。
「最近…ピオニーというアーティストさんが好きでよく聴いています」
新生、現役女子大生シンガーソングライターと言われているピオニー。突然音楽業界に現れた彼女は、業界人も驚く人気っぷりのよう。街を歩けば彼女の楽曲で溢れかえる。
「花岡さん、流石ですね！私もなんです…！」
そう言って山森さんは鞄から1枚のアルバムを取りだした。もちろん、ピオニーの1stアルバムだ。
ここまで、共通点が多いのもなかなか珍しい。私たち、会うべくして会ったのでは……？
「何だか、花岡さんとは運命感じちゃいますね…」
「…私も、同じこと考えてた」
2人してお互いの顔を見つめ合ったあと、どちらからともなく笑い出した。笑いだしたら涙が出るほど、大笑いした。
「は〜…、何だか友達通り越して親友になったみたい。彩加ちゃんと居るとそんな気がする」
「え〜！！名前呼び嬉しい〜！！あのっ、Aさんって呼んでいいですか？」
「さんじゃなくて良いよ」
「じゃあ…Aちゃんで！私の事も好きに呼んでください！」
「おっけー。じゃあ、これからはお互い名前呼びの敬語無し、ね？」
ビシッと、敬礼のポーズを取る彩加に再び笑いがこみ上げてくる。初対面でここまでの仲になれるのも珍しい。彩加に会わせてくれた伊沢さんや、祥彰に感謝しなくちゃ。
「ねぇ彩加。QuizKnockって他にどんな人がいるの？」
「えっとねー、伊沢さんでしょ〜…」
彩加とここまでの仲になっておいて肝心のQuizKnockには入りません。なんて、そんな虫のいい話はないだろう。と思いつつも、他にどんな人がいるのか気にはなった。
祥彰の事を誘ってくれたって人にも間接的にお世話になっているようなものだし。
「〜さんでしょ、あ！山本さんをうちに誘ってたのは、福良さんって人だよ」
「福良さん……」
福良…ちょっと、聞いたことあるな。名前を聞いた第一印象は、そんなもんだった。
「その人もクイズやってるの？」
「そうだね、高校生クイズとかも出てたみたい。確か、出身は四国だったかな…」
「へぇ〜そうなんだ。同じ四国出身の人だ」
「あれ？Aちゃん、四国出身なんだ？」
そうか、だから何となく聞いたことあったんだ。他のメンバーの仲で唯一、同じ四国出身の彼にどことなく親近感が湧いていた。
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作者名：りんご | 作者ホームページ：
作成日時：2020年7月29日 19時
