ネムノキを求める ページ28
【ネムノキ】胸のときめき
マネージャーと打ち合わせして、次のレコーディングの予定の確認が済んであとは真っ直ぐ家に帰るだけだった。近くだからとタクシーも断った。それが、いけなかった。
「あのっ、すみません。ピオニーさんですか？」
「っ……人違いです」
「サングラスと帽子を取っていただけますか？！」
「迷惑です」
小型のカメラを構えた人と、ボイスレコーダーをこちらに差し出す、記者らしき男性2人が私の行く先を阻んだ。なんなの、この人たち…
とりあえず大通りの明るいところに逃げよう。幸い今日はスニーカーだ。足には少し自信もあるし、あそこの角を曲がったら思い切りダッシュしよう。
相変わらずしつこく付き纏う2人の男性に、イライラも募ってくる。本当にテレビ関係者ってとってもいい人かクズみたいな人かで両極端過ぎる。そんなイライラを抱えながら、曲がり角に差し掛かる。よしっ、走るぞ。
「あっ！待ってください！」
「誰が待つもんですか！」
急に私が走るもんだから男性たちは驚いて荷物を抱えながらドタドタと追いかけて来る。チラリと後ろに目をやればだいぶあの人達と距離が開けた。よしこのまま撒いてやろう。後ろを向いていた目を前に戻したその時───
「うわっ！」
「すみませ…っ」
気付いたら人にぶつかってしまった。しかも、よりによってぶつかってしまったのは…祥彰くんだった。男性たちが近付いてくる足音が聞こえる。いけない、このままでは祥彰くんまで巻き込んでしまう。そう思い、急いでその場から立ち去ろうとしたが、彼によって阻まれてしまう。
「こっち」
「えっ？！あのっ…」
「いいから」
そのまま、彼に連れられ近くのお店に引っ張られると彼の影に隠れてなんとか男性たちを撒くことが出来たようだった。
…どうしよう。急に手を引かれて、お店の中に入ったは良いものの、このままでは祥彰くんにピオニーとバレるのも時間の問題だ。申し訳ないけど、祥彰くんから急いで立ち去らなければ。
外の様子を伺ってくれていた祥彰くんがこちらに振り向いたタイミングで、私は彼に勢いよくお礼と謝罪を伝えてお店から飛び出してきた。彼は当然、驚いた顔をしていたし私も彼に心の中で謝り倒した。
いつか、お礼を伝えられる時がこれば良いのだけど…しばらくはそんな予定は無さそうだ。私が彼に正体を明かさない限り。
握りしめられた左手が何だか熱を帯びているようだった。
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りんご(プロフ) - 葉月さん» ありがとうございます！素敵と言って貰える作品作りが出来て良かったです！次回作も構想練ってますので、ぜひお読み頂けたら嬉しいです（*＾＾*) (2020年7月10日 12時) (
レス) id: cb54059665 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 名無し21900号さん» 完結致しました！最後までお付き合い頂き、コメントまで...感謝致します！次回作まで楽しみにしてくださって嬉しいです…！ぜひ頑張りますので、次回作でも会えたら嬉しいです（*＾＾*) (2020年7月10日 12時) (レス) id: cb54059665 (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 完結おめでとうございます(謎)！語彙力がないので上手く言えませんが凄く素敵です！とても面白かったです！ (2020年7月10日 0時) (レス) id: 17b218ff81 (このIDを非表示/違反報告)
名無し21900号(プロフ) - 完結しましたね、、！更新されるのがとっても楽しみでした！次回作にも期待してます、、！ (2020年7月10日 0時) (レス) id: 92c0a47f28 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 葉月さん» ありがとうございます！そう言ってくださる方がいらっしゃるだけで頑張れます（*＾＾*) (2020年6月20日 17時) (レス) id: cb54059665 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんご | 作者ホームページ：
作成日時：2020年6月13日 12時
