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A早めに仕事終わらせれた!買い物行ける?
今朝の祥彰の寂しそうな顔が離れず、定時で帰る。その思いだけで突っ走った私は見事仕事を終わらせ定時で上がった。
約束通り祥彰に連絡しいつものスーパーで待ち合わせて食材を選んで家に帰った。
「でっきあっがり〜!Aちゃん特性の〜デミオムチーズ!!」
「うわ〜!美味しそうっ!早く食べよう!!」
目をキラキラさせ、スプーンを握り締める姿はまるで子供のよう。あまりのはしゃぎ様に思わず笑みが零れた。
「いっただっきまーす!」
「召し上がれ」
スプーンでオムライスを掬い、口に運ぶまでをじっと見つめてしまう。今まで何度かオムライスは作ってきたが、毎回祥彰の反応が気になってしまう。
「美味しい〜!すっごく美味しいよ!これ!」
「ふふ、ありがとう」
今回も祥彰の満足のいく出来栄えで良かった。さてと、私も食べようかな。そう思い、私もスプーンでオムライスを掬い口に運ぼうとすると、じっとこちらを見ている祥彰と目が合う。
「ねぇ、あーんして?」
思わず口に入れたオムライスを吹き出しそうになってしまう。失敬…
水でオムライスを流し込むと、目の前に先程まで祥彰が使っていたスプーンが出される。
そのスプーンを受け取り、祥彰の皿からオムライスを掬って彼の口に持っていく。
「ん〜、Aが食べさせてくれるとより美味しく感じる〜!」
「…そりゃ、どうも…」
恥ずかしがる様子もなく、何故か私ばかりが恥ずかしがっている。でも今日は彼の誕生日なのだ。なるべく彼の希望に応えてあげたい。そうしてそのまま、全てのオムライスを平らげた。
「ふぅ、美味しかった!ご馳走様でした」
「お粗末様でした。」
自分と祥彰の皿を流しに持っていき、そのまま洗い物をしているといつの間にか祥彰が後ろに立っていて、そのまま後ろから抱きつかれる。
「わっ、ちょ、祥彰…」
「洗い物なんて後でいいじゃーん」
今朝と同じく、私の首元に顔を埋めてくる。本当に擽ったくて思わず身体が捩れる。
「擽ったい?」
「あはっ、ちょっ、と!分かっててやってるんでしょ…!」
洗い物の手は止めたものの、泡まみれの手で祥彰の手を掴むわけにもいかず
「ちょっ、よし、あきっ」
「ね、ケーキ食べていい?」
耳元でいつもより低めの声でそう話されれば思わず身体がビクッと跳ねてしまう。そんな私の反応に面白がってかそのまま耳朶を甘噛みされる。
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作者名:りんご | 作者ホームページ:
作成日時:2020年5月29日 14時