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kwmr
『ごめんね、このところ忙しくて…今日も帰り遅くなりそう』「分かった。きちんと戸締りして寝るんだよ」『うん。ありがとう河村さん。おやすみなさい』『おやすみ、A』彼女はこの所仕事の繁忙期でバタバタと忙しそう。唯一の繋がりである電話も落ち落ちしていられない。通話を切ってスマホのごめんをのぞけば30秒という短い通話時間が示されている。…ちょっとこの所癒し不足だ。久しぶりに癒されに行こうか。そんなことを思っていると体は勝手に動いてしまって、気付けば彼女の家の前にいた。「……えっ、どうして？！」「ごめん、癒されに来た」仕事帰りの彼女を思い切り前から抱き締めるとスーツから彼女の香りが鼻をくすぐる。「…河村さんだぁ」「最近会えなくてさ、少し寂しかった」「…随分と素直で甘えん坊さんですね」「Aは寂しくなかったの？」「私だって…河村さんに会えなくて寂しかったです」体を少し離して顔を覗き込めばとても嬉しそうに笑う彼女の顔に心が大きく跳ねた。「ねぇ…A…」「何ですか？河村さん」再び彼女に体を預け肩に顎を乗せながら呟いた。「河村さんにならない？」「…へっ？」「河村Aになればさ、毎日会えるんだよ」「えっ、ちょ、河村さん…？！」両手で肩を掴みゆっくり彼女と向き合えば驚きと不安と戸惑いが隠せてない表情の彼女。可愛いなぁ。本当に毎日見ていたい。「ね、どう？河村Aにならない？」「それって…」「そうだよ」彼女の耳元でそっと囁いた。「結婚しよう」
sgi
いつも思い付きで動く俺だけど、今回はいつもと違う。きちんと予約して、花束受け取って。でもここからはいつもの俺と変わらないかもしれない。思い付きでオフィスまで向かってみよう。なんて顔するかな。「おはよー！！Aいるー？！」オフィスのドアを開ければみんなの視線が俺に集まる。中でも一際目ん玉ひん剥いて見ている人物目掛けて俺はスタスタと歩みを進める。「え？！ちょ…駿貴さん？」「Will you marry me?」跪いて、手に握った108本のバラの花束を彼女の目の前に差し出せば、驚きやら戸惑いやらで涙をボロボロ零す彼女。「えっ…なんでぇ…今日記念日だっけ…」「記念日でも何でもないけどさ、単純にAと結婚したいなって思っただけよ」「こんなの…、ズルいよぉ…」ボロボロ零れる涙を人差し指で拭ってやるも次から次へと溢れだしてくる。「……で、返事が欲しいな」「そんなの、決まってるでしょっ…Yes,I will!!!」
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作者名：りんご | 作者ホームページ：
作成日時：2020年5月29日 14時
