もしも…出逢わなければ…2nd (ページ13)

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12話竜胆side ページ13

何も覚えていない……

Aの意志とは関係なしに、別の人格が勝手に暴れていたということか…

昔からAはいつもニコニコしている優しい奴だった。

けどほんとに時々、本人も気付いてない程に、口調が変わることがあった。

これは、恐らく兄貴も気付いてない…

─── アイツがとか、

笑い方が少し素っ気なかったり…目付きが鋭くなったり、

気の所為かと思っていたが…昨日の事で確信した。

今までは、黒い衝動が出てくる必要が無かったり、抑えてくれる人間がいたから、見ることが無かったのかもしれない。

急にその鎖全てが失われて今まで抑えていたものが、溢れ出してしまったのだろうか…

それか、もしかしたら昨日の人格が本当のAなのか…

蘭「竜胆〜」

兄貴に肩を掴まれるまで気づかず驚いた。

兄貴にも一応、Aが二重人格者だと伝えた。

蘭「…やっぱそっか〜」

兄貴は頭を抱えながら！壁に寄りかかった。

二重人格なのは別に構わない…困るのは、Aがもう1人の奴の体力に合わせられてない事。

もう1人の奴も昨日の暴れっぷりは恐ろしかったが、どこか動きづらそうで、Aの体を上手く操れてないと感じた。

俺が撃った所以外に、沢山痣と、切り傷があった。

もう1人の奴には痛覚がないのだろう。オマケに頭がイカれている。銃口を向けられてもずっと笑ってられるヤツだ…

さて…九井に報告しなきゃな…

俺は九井にもこの話をした。

次の日に、Aの様子を見に行けば、ベッドに座っているだけでぼーっとしているAがいた。

もう1人のAになる時のきっかけはなんなのか考えながら、Aの横に腰掛ける。

竜胆「傷は大丈夫か？」

貴「…うん」

竜胆「早速で悪いんだが、付いてこい」

俺は腕を掴んで、そのままみんなが集まる場所に連れていった。

三途「おお、来たか…」

三途が銃を持って、Aを見つめていた。