▼Day.42 ページ10
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「ここ、病院……」
「ああ。知り合いの先生が勤めているところだ」
「さっきせんせーにメールしたらもう午前の診療終わったから大丈夫だって」
シンジュク中央病院。
まるでドラマにも出てきそうな大きな病院だ。
こんな所に勤めているなんてさぞかし腕の良い先生なんだろう。
「おい。ぼーっとしてないで行くぞ」
「わっ。あの、観音坂さん」
「なんだ?」
まるで容疑者でも連行するように二の腕を引っ掴まれて転びそうになる。
唯一彼の家にあったクロックスも私には少し大きくて何度も脱げそうになった。
「も、もしかして、私を病院に連れてきたのはおかしな人だと思って……!!!???」
「はあ?」
「ぷっ…!」
だってじゃなきゃ病院に来る意味なんかないじゃない!
後ろでくすくすと笑いを堪える伊奘冉さんをよそにどんどんと青くなる顔。
た、たしかに頭がおかしいかどうかは自分でも定かではないけど!!!
「お前…まだそんなこと言ってるのか」
「だ、だって…!!」
「ちょ、どっぽちん、何この子めっちゃウケるんだけど…!」
「一二三も笑うのやめろよ……」
はあとまた長い長いため息を吐いて頭を掻く。
伊奘冉さんの頭を小突いてやいやいと楽しそうにやりとりをする観音坂さん。
「そもそもー!君がおかしいなら独歩ちんはもっとおかしいから大丈夫!!」
「俺はそういうこと言ってるんじゃない!!
彼女を安心させようとしてだな…!!」
「え?」
「分かってる分かってる!独歩ちんは優しいもんなー!」
「なっ…!やめろ!恥ずかしいだろ一二三っ!!!」
なんだ…そういうことか。肩の荷がおりたように軽くなる。
寂雷先生ならきっと力になってくれっから!と笑う伊奘冉さんに先程の怯えてた表情はどこにもない。
(協力してくれるんだ)
まだ出会って間もないのに貴重な休みまで削って。
「あ、ありがとうございます…!!
観音坂さん、伊奘冉さん!」
きっと私ならこうは出来ない。
二人の器の広さに頭が下がるばかりだ。
するとくすりと笑って声を出したのは伊奘冉さんだった。
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るる(プロフ) - 簾さん» 簾様、誤字のご指摘ありがとうございます。該当のページは修正させて頂きました。また何かお気づきの点ございましたらご報告頂ければ幸いです。 (2022年8月16日 22時) (レス) id: b70bae4cdb (このIDを非表示/違反報告)
簾 - day46の最後、るるって作者様のお名前ですか…? (2022年8月16日 21時) (レス) @page21 id: 7996fa9caa (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 朱鳥さん» 朱鳥様コメントありがとうございます。星評価足りないなんてとても嬉しいお言葉ありがとうございます。いよいよ二人の新展開が始まりました!今後とも更に楽しんで頂けるよう頑張りますので乞うご期待ください。サイト開設しましたらまた告知させて頂きます。 (2022年1月6日 10時) (レス) id: b70bae4cdb (このIDを非表示/違反報告)
朱鳥(プロフ) - 更新お疲れ様です。どんどん引き込まれていく展開で毎回ハラハラドキドキしてます。たくさん押したいのに星の評価が足りないくらいです。サイト開設されましたら是非、そちらも見に行かせていただきたいです。 (2022年1月5日 0時) (レス) @page46 id: 53a215b2a7 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - なっつさん» なっつ様コメントありがとございます。過去作まで何周もして頂いてとても嬉しいです!今後とも続きを楽しみにお待ちください!お気遣い頂きありがとうございます。なっつ様もお身体に気をつけて。サイトも開設しましたら告知させて頂きます! (2022年1月3日 10時) (レス) id: b70bae4cdb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るる | 作成日時:2021年11月15日 21時