居候がおりまして。ver.3【白膠木簓】

▼Day.53 ページ41

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12月25日17時 ◯×ショッピングモール。




「…………ちっ」



「今の左馬刻さんの気持ち代弁しましょうか？
クソクリスマスに糞女とこんなところに来るとはクソついてねえ」



「そこまで思ってねえ」
「そこまでって、少しは否定してよ」




目の前を走り去って行く子どもたちを見て、いつもよりも一層眉間の皺が増えていく。施設内は親子連れやカップルで溢れており、私達はやっとのことテラス席のあるカフェにたどり着いた。





「感謝しろよ」
「何を」



「Aが一人じゃ嫌だって駄々こねっからわざわざ来てやったんだ」



(…………こねた覚えは全くないけど)





そんなこと言うとまた面倒臭そうだから黙っておこう。



寒空の下で飲むコーヒーは私の緊張を和らげていく。
本当は室内が良かったけど、左馬刻さんがニコチン切れでイライラしてたからしょうがない。





(むしろ喫煙できるカフェを探した私を褒めて欲しい)



「あ？なんだ？」
「何でもないよ。ささ、お構いなく吸ってください」





カチリ。目の前でジッポの火がゆらりと揺れる。



まあ、前よりは彼とも話しやすくなったかな。






あれから左馬刻さんはバイト先にちょこちょこ顔を出すようになった。


主に買うのは煙草くらいなもので、ものの数分会話する程度だけど、初めに会った時のような怪訝な顔はしなくなっていた。






「くくっ、変な顔しやがって。可愛い奴」






こうやって笑えば年相応に可愛げがあるのに。





「年上からかって面白い？」
「Aだから面白えんだよ」
「よく言うわ」





気がつけば彼の態度につられて敬語も外れていた。




たしか一郎君から聞いた話だと18時から例のイベントが始まるはず。




三郎君がネットで、二郎君が人伝に集めてくれた情報。


無駄にするわけにはいかない。






「ねえねえ。あそこにいるのって左馬刻様じゃない？」
「……………！」
「本当だ！かっこいいー……！でも一緒にいるの誰？」






側を通り過ぎて行った人達が彼を見て私を見る。



ああ、やめてそんな目で見ないで。
彼とはただの知り合いです。



………一応彼女達が離れていくまで顔は伏せておこ。


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