居候がおりまして。ver.3【白膠木簓】

. ページ5

.




たっだいまー！




「ん………、」




現実に引き戻されるように甲高い声に目を覚ました。
カーテン越しの光が朝を迎えたことを教えてくれる。


しかし誰だろう。ぎしりぎしりとテンポの良い足音。





「…！ま、まずい…！」





いまただいまって…、観音坂さんじゃない！！！


思わずブランケットを手に取り身体に巻きつけて身を隠すが、そんなサイズに私の身体が収まる筈もなく。





ガチャ



「独歩ちーん！今日休みなのに早起きじゃ、」

「っ！！！！？？？？」



「ん。…………へ？」





しまった。無情にも開いた扉にピシリと身体が動かなくなる。



お、おおお男のひと？

それも金髪の端正な顔立ちにスーツが似合って…。





「……………ぁ……」


「お、お邪魔…してま、す……」





開いた口が塞がられない彼がぶるりと身体を震わせた。


会釈したところで観音坂さんがどこからか知らない女を連れてきたと思ったところだろう。
付き合っていた男の濡れ場を見た私と同じ。





「あの…勝手にすみま、」


「ひっ…！！！！」
「！？」





申し訳なく思った私が立ち上がろうとしたその時だった。




彼が声にならないような悲鳴をあげたのは。



















「ひふみ！？おい、一体なにが…！」


「あ！観音坂さん…！い、いま男の人が…！」
「！しまった…！」




部屋から飛び出してきた観音坂さん。
寝起きさながらのぼさぼさの髪で転びそうになりながら、閉じた扉の先に声をかける。





「わ、私、ごめんなさい」
「っ。いや、俺が悪かった…！！」





一体なにが起きたか分からない。


私の部屋と同じならそこはトイレがある場所。
必死に男の名前を呼ぶ観音坂さんの顔が必死そのもので。





「ひふみ！聞いてくれ！これには事情があって…！」





(ひふみさん。きっと観音坂さんの大事な人)





ぎゅうと肩にかけたブランケットを握った。


.

.→←▼Day.40

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す