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▽Day.31 ページ31

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「で。どうしよっか、これから」




今回の旅の発端になった思い出を片手にAちゃんが呟いた。


いい感じに日も暮れて辺りも薄暗くなってくる。一番星の明るさが一層雰囲気を盛り上げてくれるようなそんな気がした。




「思ったより…見つかるの早かったなあ」

「ね。小説だとこういうのってなかなか見つからないのが定番じゃない?」


「簓さんの日頃の行いが良さすぎたんや」

「いやいや。私のでしょ」




くるくると台紙に納められたそれを回す。
さっきまでの憂いた顔もまたいつもの冷静な表情に戻り、どこか寂しく思えた。





「ねえ帰る?明日は部屋の掃除でも、」


「…………、」


「?………どうしたの?」

「なんとなく、」





いつからまた触れられるようになってたんやろう。
知らん間に戻ってたんなら惜しいことしとった気がするわ。



Aちゃんの手が温い。






「手、小さいんやな。意外と」
「意外とってどういう意味よ」


「態度に比例せんいうこと」
「………よし、簓さん夕飯抜きね」


「ああー、なんやたこ焼き食いたなってきたわ」






「あのね!人の話聞いて…────っ!?」






頬膨らませて眉を吊らせて、怒った顔すらもう愛しくて。






「ん、っ」


「かあいい」


「な、に言って、ん、…!」






酸素は与えても有無は言わせず、少し離せばまた噛み付く。


掴んだ手を指先まで絡み付け、逃げようとする腰に手を添えればぎゅうと握られた手に強く答えた。





(これでも俺にしちゃ我慢した方や)





縋るように袖口を掴まれ、何度も目の前で言い淀まれ。

好いとる子にここまでされて何もせん方がけったいなこった。






「ふは、ま、って」

「待たへん」


「足が、ん、っ」

「俺が支えたるから安心しい」

「も、できるか、ばかっ…!」






あんま涙目にならんとって。


そう言って笑ってみせたって今のAちゃんに冗談が通じる筈はない。

余裕なく息をして瞳を潤ませて爪先立ちの足を震わせる。




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るる(プロフ) - たらいさん» たらい様コメントありがとうございます。大好きなんて言って頂いて本当に嬉しいです!ぜひ次の更新も楽しみにお待ち下さい。応援宜しくお願い致します! (2021年11月14日 7時) (レス) id: 5e72f07573 (このIDを非表示/違反報告)
たらい - るるさんの話大好きです!いつも楽しみにしてます!! (2021年11月13日 18時) (レス) @page46 id: 3170693201 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 八守葵さん» 葵様コメントありがとうございます。本日更新分で更に辛い展開かもしれません…。これが普通なのに腑に落ちない二人です。また二人が出逢える日はくるのでしょうか。作者多忙につき更新ゆっくりですが気長にお待ち下さい! (2021年11月5日 10時) (レス) id: 5e72f07573 (このIDを非表示/違反報告)
八守葵(プロフ) - うわぁぁっ……待って辛い。夢主ちゃんとの時間は夢で終わらせられないくらい幸せなのに……空元気みたく笑う白膠木さんが目に浮かぶ。正常に戻った筈なのにモヤモヤする…… (2021年11月1日 5時) (レス) @page42 id: e7d640d42f (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 八守葵さん» 葵様コメントありがとうございます。お馴染みのしんどい展開ですみません…漸く帰れる可能性が出てきたのに戸惑いが隠せないですね。出会う筈のなかった二人の運命はどうなってしまうのでしょうか。乞うご期待ください。 (2021年10月17日 23時) (レス) id: 5e72f07573 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:るる | 作成日時:2021年9月26日 1時

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