居候がおりまして。ver.2【白膠木簓】

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「……なにそれ」

「……やって、…！」




驚いたことに私の口から飛び出してきたのは、愚痴でも言い訳でもない。





「ふふっ、簓さん心配しすぎだよ」





笑いが溢れた。





「ごめんね。私酷いこと言った」
「いや…俺も言い過ぎたわ。ついカッとなってまって」





酔いも覚めてきたのか、顔色は相変わらずだが冷静に言葉を選んで話す彼。年下相手に熱くなってしまった私も大概だった。




「あのね。簓さんが言った通り、今日もあんまりいい人じゃなかったの」


「…！な！せやろ！？だから俺言うたやん！！！」


「でも見る目ないは言い過ぎ」
「うっ…！そ、それは、ごめんて…」




どんどん小さくなる彼の声。普段の自信家な彼はどこに行ってしまったんだろう。それが可笑しくて私が笑うと、彼も漸く力ない笑みを見せた。





「…鍵投げられたん、結構ショックやったん。

そらいつかは返さなあかんもんやけど、急すぎて気持ちがついていかんかった。どんだけ飲んでもここに居た思い出も忘れられへんし」





やっぱり出て行こうとしてたんだ。


改めて気持ちを聞いて顔を顰める。納得しても素直に頷けなくてふと視線を晒すと、とんっと額を押された。無理矢理上げさせられた顔。






「せやけどどうにもAちゃんの顔もっかい見たくて、帰ってきてもうた。ここなら会える気がして」






せやからごめん。そう言って扇子片手に彼が笑う。




ああ本当に馬鹿な人。いやアホな人かな。


もうしょうがないなあ。


そう思ったら何かがぷつんと切れたように目から吹き出した。


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