居候がおりまして。ver.2【白膠木簓】

▼Day.21 ページ3

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「夢みたいって、ここ私の家だからいるに決まってるでしょ」

「むー…せやけどー…」




まだ立ち上がる様子もなくごろごろと布団に絡まる。
どんどんと皺になっていくそれを見てると、ますます猫みたいだとため息が溢れた。




「酔ってる？」
「うん、たぶん。ふわふわしとるもん」


「…その割にはちゃんと聞こえてそうだけど」
「うへへ」




簓さんがお酒を飲んで顔を赤くするのは見たことがあったけど、ここまでへらへらと酔っ払った所は初めて見る。一体どれだけ飲んできたんだろう。


…この様子から察するに缶ビール一本では済まない。




「うーん…眠い、」
「ちょっとそこで寝ないでよ。私寝られないじゃん。
ほらせめてベッドに行って」




はあ、今日はソファかな。
この調子では今話しても無駄な気がする。

私が彼を揺すり起こすと、眠気眼を擦ってベッドによじ登る途中で簓さんが口を開いた。





「Aちゃん」
「ん？」


「ここ」
「ここ？」
「ん。こーこ！」





指差されたのは彼の隣。座れってことなのかな？


乱れた髪で小さく笑う顔は幼い子供でも見ているようだ。首を傾げて隣に座ると、あんな、と片足を抱えた簓さんが声を出した。





「簓さん不安なん」
「不安？何が？」


「俺が帰ったらAちゃんまた一人やろ？」
「…とりあえずね」


「ちゃんとご飯食べるかなーとか朝起きられるんかなーとか」





そんなの今までもなんとかしてきた。

何を今更そんなことを言ってるの、そう言いかけた私。






「…………っ、変なやつに捕まらんかな、とか。」






唾を飲み込んで、言葉を飲み込んで、簓さんはため息をついた。拗ねた顔して脚を抱き抱えて、まるでいじけた様に口を窄ませて。




呆れた。




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