. ページ50
.
「乱数くん、ごめん」
「!」
彼等の手がするりと解けた。
「私行かない…っ…」
解けた手が拳を作り、口からは震えるように声が出される。
「今日はね、簓の誕生日なの。だから簓のことだけ考えたい」
「──────」
いつも俺ばっか好きなんやって思ってた。
からかって好きと言わせることはあっても、
付き合った日以来彼女から言われることもなくて。
「私彼女らしいこと何も出来なくて、いつも私なんかでいいのかなって思ってる。でもそれも全部好きだからって気づいてるの」
A。
はやく名前を呼んで抱きしめて、溺れるようなキスをしたい。
彼女に対してはどこまでも弱気な自分が嫌になる。
しかしやっと再び噛み合った視線に、きゅうと心臓が跳ねるのが分かった。
「それに、私がずっと一緒に居たい人は簓だけだよ」
幼くても、歳を重ねても、辛くても、嬉しくても。
そうやって俺たちは生きてきたから。
「っ、だからまた今度にしよ。乱数くん」
「むー……でも久しぶりに会えたのにぃ…」
「乱数諦めなさい。カラオケなら帝統が一緒に行きますから」
「なんで俺だけ!?」
「ボクはAと一緒がいいのー!!」
「だからごめんって…」
ほとほと呆れた顔の彼女が彼の頭に触れようとした。
「待ちぃ」
「!」
掴まれた手首に熱を込めて、
「A。騙されたふりももう飽いたわ」
「?さ、さら?………っ、わっ!?」
え、どこにそんな力が!?と耳元で喚く声。
辺りのざわつきも生放送もどうでもええ。
Aくらいなら俵担ぎも余裕やわ。
俺かて筋肉の一つ二つちゃんと鍛えとるっちゅーの。
「ちゃんとケツ抑えとかなパンツ見えんで」
「なっ……!だったら下ろして…!」
「そら無理なお願いや。あ、すんませんプロデューサー。俺らもう次の予定あるんであがりますわー」
「え!?白膠木くん、それはちょっと…!」
「こんだけ色んなもん撮れたら撮れ高ばっちりやろ。
もうあと何時間で今日が終わってまうんや」
これは一年に一度の、二人だけの大事な一日。
「ほなまた宜しゅう」
@nurusara 君に我慢なんてアホらしい
------
番外編なのに続編に行くなんて(動揺)
.
157人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るる(プロフ) - 八守葵さん» 葵様ありがとうございます!無事に完結して良かったです!これからも二人仲良く過ごしてくれると嬉しいですね!これからも応援宜しくお願い致します。 (2021年9月24日 9時) (レス) id: 5e72f07573 (このIDを非表示/違反報告)
八守葵(プロフ) - 誕生日の前日ってことは今日ですよね?!完結と誕生日おめでとうございます!難しい言葉凄く知ってるから年上の方かな?白膠木さんと夢主ちゃんの関係性の名前が変わっただけで誕生日の祝い方は同じ何だろうなと思う今日この頃。作者様にとってより良い日が続きます様に! (2021年9月23日 5時) (レス) @page40 id: e7d640d42f (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 八守葵さん» 葵様コメント有難う御座います。長かったですね!漸くここまで書けたと嬉しくなりました!きっと盧笙さんは号泣です(笑)ぜひエピローグまで読んで楽しんで頂けたら嬉しいです!こちらこそいつも応援ありがとうございました!他作品でもぜひ宜しくお願い致します。 (2021年9月22日 14時) (レス) id: 5e72f07573 (このIDを非表示/違反報告)
八守葵(プロフ) - やっと……やっと実った…っ!白膠木さん、長年の想い届いて良かったねぇ!どついたれ本舗四人でならきっとどんなことも乗り越えられる!だから死が2人を別つまで…って誓ってキスして躑躅森さんに感涙して欲しい。作者様、こんな素敵な物語紡いで下さってありがとう! (2021年9月20日 14時) (レス) id: e7d640d42f (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 八守葵さん» 葵様コメント有難う御座います。いつも笑ってるのは不安を隠すためだったら…っていうのは妄想ですが、絶対無敵じゃない白膠木さんもいいかなと思いました。お互いを想って応援できるようになった二人に乞うご期待を! (2021年9月6日 10時) (レス) id: 5e72f07573 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:るる | 作成日時:2021年8月19日 23時