紫色の見解 no.2 ページ4
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「空却さーん!待ってくださーいっ!」
「うっせえ!チンタラしてっと置いてくぞ十四!」
「いやっすううううっ!!」
涙浮かべて走るは中王区。
空却さんは頼りになるけど、それ以上に意地悪だ!!獄さんが遅れてくるのをいいことに、観光しようと言い始めた彼を僕なんかが止められる筈がない。
「よ、ようやく追いついた…!はあ、はあ…!」
「ったく、だらしねえ男だなあ」
「空却さんが速すぎるんっす…!」
「そんなことより見てみろ。あそこ」
口角を上げて笑う空却さんはまずい。
ぜったい!良からぬことを考えてる!
「あれは、」
「ひゃはっ。こりゃ運がいい!簓とAだ!」
「うわー…あれもしかしてデートじゃないっすか…!」
「こんな目立つとこで逢引きとは、やるじゃねえか簓。よし十四。乗り込むぞ」
「へ?…あ!ちょ!だ、駄目っすよ!!」
「あ゙?んでだよ」
スカジャンを中途半端に着た空却さんがこっちを向く。なんでって…誰がどう見ても邪魔しちゃいけない雰囲気じゃないっすか!
「折角仲直りしていい感じなのに、どうしてその間を割っていくんすか!!」
「だからだよ。ちいと障害がある方がお互い盛り上がんだろ」
「それは空却さんだけっすから!!」
それが無茶なことくらい恋愛経験も少ない僕でも分かる。ああもう獄さんはやく来て!!!
暫く押し問答をした末、空却さんは盛大な溜息をついた。
「…分かった分かった。拙僧の負けだ。
ったく、でけえ図体して泣くんじゃねえよ十四。そんなんじゃ好きな女一人も守れねえぞ」
「………!」
空却さんの言う通りだ。僕は未だ弱虫のまま。泣くな泣くな泣くな。だめだ堪えろ。
まだこんなんじゃ、大事な人を守れない。
「…っ、でも!」
金眼が僕を映す。それでも、もうあの時の僕じゃない。諦めるだけの僕じゃない。
「修行頑張ったら、強くなって大事な人を守れるっすよね…!?」
そしたら二人のように誰かを愛して、また愛を信じて。
「───はっ、誰が修行つけてると思ってんだ」
空却さんが笑う。これは嬉しい時の笑い。
「どえりゃー奴になりてえなら精々頑張るんだな」
僕は夢を見る。家族が増える小さな夢を。
@xxxx 紫色の見解(Jの場合)
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るる(プロフ) - 八守葵さん» 葵様ありがとうございます!無事に完結して良かったです!これからも二人仲良く過ごしてくれると嬉しいですね!これからも応援宜しくお願い致します。 (2021年9月24日 9時) (レス) id: 5e72f07573 (このIDを非表示/違反報告)
八守葵(プロフ) - 誕生日の前日ってことは今日ですよね?!完結と誕生日おめでとうございます!難しい言葉凄く知ってるから年上の方かな?白膠木さんと夢主ちゃんの関係性の名前が変わっただけで誕生日の祝い方は同じ何だろうなと思う今日この頃。作者様にとってより良い日が続きます様に! (2021年9月23日 5時) (レス) @page40 id: e7d640d42f (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 八守葵さん» 葵様コメント有難う御座います。長かったですね!漸くここまで書けたと嬉しくなりました!きっと盧笙さんは号泣です(笑)ぜひエピローグまで読んで楽しんで頂けたら嬉しいです!こちらこそいつも応援ありがとうございました!他作品でもぜひ宜しくお願い致します。 (2021年9月22日 14時) (レス) id: 5e72f07573 (このIDを非表示/違反報告)
八守葵(プロフ) - やっと……やっと実った…っ!白膠木さん、長年の想い届いて良かったねぇ!どついたれ本舗四人でならきっとどんなことも乗り越えられる!だから死が2人を別つまで…って誓ってキスして躑躅森さんに感涙して欲しい。作者様、こんな素敵な物語紡いで下さってありがとう! (2021年9月20日 14時) (レス) id: e7d640d42f (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 八守葵さん» 葵様コメント有難う御座います。いつも笑ってるのは不安を隠すためだったら…っていうのは妄想ですが、絶対無敵じゃない白膠木さんもいいかなと思いました。お互いを想って応援できるようになった二人に乞うご期待を! (2021年9月6日 10時) (レス) id: 5e72f07573 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るる | 作成日時:2021年8月19日 23時