検索窓
今日:10 hit、昨日:2 hit、合計:26,124 hit

紫色の見解 no.1 ページ3

.



俺には我慢ならないものが二つある。一つ、話を聞かない奴。二つ、弱いものいじめだ。特に後者に該当する奴らは地獄に堕ちてもいいと思っているくれえ、我慢ならねえ。


そんな俺は、ある日事務所に置いてあった週刊誌の記事を見て珈琲を吹き出しそうになった。




「ごほっ!…っ…!」
「先生!?大丈夫ですか!?」




駆け寄ってきたのは秘書の一人。手早く拭くものを持ってきて少し溢れた珈琲を拭き取る。



「す、すまねえ。大丈夫だ…」
「新しいの淹れてきますね」
「助かる」



彼女がカップを持って部屋を出ればしんとした静かさが部屋に戻った。新しい珈琲を待ちつつ、改めて開いた週刊誌には見慣れた二人の名前が一面に書かれている。




「………ったく、展開が早すぎねえか」




こないだキスされてどうのこうの言ってたばっかりなのに、同棲報道って…。馬鹿かアイツは。全くガードが緩いにも程がある。

脳裏を過ぎるのは、俺が明らかに好かねえお笑い芸人とその幼馴染のことだ。




「それ本当なんですかね?」




気づけば珈琲片手に戻ってきていた彼女が口を開いた。週刊誌ってつい買っちゃうんですよね、と笑う様子からどうやらこれは彼女のらしい。



「これがデマなら名誉毀損。訴訟問題もいいとこだ」

「でも火の無いところに煙は立たないと言いますから」
「…………」



アイツらの場合、煙どころかぼや騒ぎだけどな。ぼやで済むならまだいい。芸能人が炎上して警察沙汰なんてザラにある話だ。




「先生はお二人とお知り合いでしたよね?」
「あ?…まあな。芸人の方は殆ど接点がないが」

「じゃあいざとなったら先生に弁護してもらえるので安心ですね」
「!」




考えてもみなかった。俺は弁護士だ。万が一のことがあればアイツの助けくらいはできるかもしれない。

新しい珈琲は俺好みの温度で口当たりがいい。




「そうだな。もしそうなったら絶対勝たせてやるよ」




それ相応の報酬は頂くけどな、と笑えば部屋の外から騒音が聞こえてくる。うちは駆け込み寺じゃねえって何回言ったら分かんだ餓鬼ども。




しょうがねえから弁護くらいはやってやるよ。
口うるせえ芸人は兎も角、Aの奴は嫌いじゃねえからな。



@xxxx 紫色の見解(Hの場合)

.

紫色の見解 no.2→←灰色の見解 no.3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (48 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
157人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

るる(プロフ) - 八守葵さん» 葵様ありがとうございます!無事に完結して良かったです!これからも二人仲良く過ごしてくれると嬉しいですね!これからも応援宜しくお願い致します。 (2021年9月24日 9時) (レス) id: 5e72f07573 (このIDを非表示/違反報告)
八守葵(プロフ) - 誕生日の前日ってことは今日ですよね?!完結と誕生日おめでとうございます!難しい言葉凄く知ってるから年上の方かな?白膠木さんと夢主ちゃんの関係性の名前が変わっただけで誕生日の祝い方は同じ何だろうなと思う今日この頃。作者様にとってより良い日が続きます様に! (2021年9月23日 5時) (レス) @page40 id: e7d640d42f (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 八守葵さん» 葵様コメント有難う御座います。長かったですね!漸くここまで書けたと嬉しくなりました!きっと盧笙さんは号泣です(笑)ぜひエピローグまで読んで楽しんで頂けたら嬉しいです!こちらこそいつも応援ありがとうございました!他作品でもぜひ宜しくお願い致します。 (2021年9月22日 14時) (レス) id: 5e72f07573 (このIDを非表示/違反報告)
八守葵(プロフ) - やっと……やっと実った…っ!白膠木さん、長年の想い届いて良かったねぇ!どついたれ本舗四人でならきっとどんなことも乗り越えられる!だから死が2人を別つまで…って誓ってキスして躑躅森さんに感涙して欲しい。作者様、こんな素敵な物語紡いで下さってありがとう! (2021年9月20日 14時) (レス) id: e7d640d42f (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 八守葵さん» 葵様コメント有難う御座います。いつも笑ってるのは不安を隠すためだったら…っていうのは妄想ですが、絶対無敵じゃない白膠木さんもいいかなと思いました。お互いを想って応援できるようになった二人に乞うご期待を! (2021年9月6日 10時) (レス) id: 5e72f07573 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:るる | 作成日時:2021年8月19日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。