○・＊彼がネクタイをゆるめたら＊・○

regret ページ27

モヤモヤした気持ちのまま

「とりあえず記事が書けたら一度Aさんに送りますね！是非先輩と一緒にご確認をお願いしますね〜」

パソコンに向かって何か言ってやがるリカちゃんを置いて先に会社を出た。

「はぁあ〜…」

寒くなって来ると人肌恋しくなるからか
いつにも増してカップルに目がいってしまう。

お洋服とかお化粧とか、
オシャレは大好きだから気を遣ってるけど


隣りにいてくれる素敵な人がいないと何も始まらないもんなぁ…。

「はぁあ〜…」
ため息がとまらない。


俯いてた顔を上げて
さっさと帰ろう。って気持ちを切り替えた時


「浮かない顔してますね、お姉さん」


突然声を掛けられて、
やだ、変なのの勧誘？って思って無視して歩き出したら


「おいコラ、朏。待て(笑)」


今度は肩を掴まれて、

この手…この声…


「…せ、んぱい…」


振り返ったらやっぱり先輩が居て



「何て顔して歩いてんの(笑)」

「色々モヤモヤして」

「モヤモヤ？俺の感想役に立たなかった？」

「そーじゃないです」


さっきあれだけ人の心をごちゃごちゃにしてった癖に、
何食わぬ顔で接して来る先輩にちょっとイラっとした。


「急に冷たいじゃん」

「そんなことないです」

「あ、ごめん、待ち伏せみたいになったのは悪かった。でも朏に…「そんなことないです」」


「や、その態度で…(笑)そんなことなくないだろ」

「そんなことないですって！！」



もう先輩って何なの！？


私はもう先輩のことが気になってるの次元通り越して
好きで好きでしょうがないっていうのに…！


からかうようなことしてみたり、

いつも通りだったり、

何なの本当に！！


「ちょっ…朏！！」



頭も心もごちゃごちゃで、
先輩の手を振り払って歩き出した。


走って追いかけて来るかな…って
心のどこかで少し期待してたけど
とうとう電車に乗り込んでも
先輩は追いかけて来てくれなかった。


「あれ…」


電車が走り出して気づいた。
窓の外、ものすごい雨が降ってる。



「雨やば！ギリセーフだったね！」
「最近のこういう突然の強い雨やんなる〜」


向かいに座る女子高生の会話。



…先輩は、大丈夫だよね？


…そういえば先輩なんか言いかけてた気がする。

わざわざ私の会社の近くまで戻って来てくれてたのに、
私それを振り払って来ちゃった…



電車はあっという間に会社から遠ざかって

先輩の話をちゃんと聞かなかったこと、
今更後悔した。

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