○・＊彼がネクタイをゆるめたら＊・○

liar ページ25

何とかインタビューが終わって、

リカちゃんに今度はお茶の片付けを頼んで

先輩をエントランスまでお見送りに行く。



「本当にありがとうございました…」

一階まで下がっていたエレベーターが上がってくるまで

先輩に何度も繰り返し頭を下げた。


「そんな何度も言わなくていいよ(笑)朏の職場？仕事？みてれちょっと楽しかったし」


先輩がまた笑う。


私が照れる。


この流れ何度めだっつーの。



やっと上がってきたエレベーターに乗り込んで

「私もいつか先輩の仕事してるとこ見てみたいです」


密室なのをいい事に、
ちょっと踏み込んだこと言ってみた。


「地味でつまんないと思うよ(笑)」

「それを言ったら私の仕事こそ地味です(笑)」



どっちが地味かの張り合いをしてたら
あっという間に一階について


「本当にありがとうございました。お気をつけて」


自動ドアのギリギリまで先輩を見送ると


「こちらこそお世話になりました。」

先輩もお辞儀をして、


「じゃあ」って私が手を振ろうとした時


「あ、そうだ朏。」


何かを思い出したような先輩が
先輩より背の低い私に合わせて屈むと

「さっき嘘ついちゃった。 本当は、朏と出かける口実にプラネタリウム使ったの。」


そっと耳打ち。




即座に熱くなる私の顔。




「じゃあね。お疲れさま」



そんな私を残して、
ニッと軽く微笑むと

先輩は外へと消えて言った。



放心状態のまま振り返り、
仕事に戻ろうとすると


一部始終を見ていた受付嬢高野さんが


「なによ、あの確信犯は…！」


何故か私並みに照れていた。

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