【妖の森】カルミア、僕が嘘をついた日。【派生作品】 (ページ5)

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じゅうがつのさんじゅういちにちページ5

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＿＿ハロウィーンの日

いつものように墓参りを済ませた日の日没でした。
いつものように「お帰り」の声を待ちます。
……しかし、声はいくら待とうが帰ってきません。思いきって「ただいま帰りました」と言ってみても、返るのは静寂ばかり。

帰ってきた家はどこか今以上にがらんとしているのでした。

返事も待たず家に上がるのはどうかとも思いましたが、10月は少し冷え込むので、我慢できず上がってしまいました。歩くと微かに軋る床を渡り、台所まで行きました。

おかあさまはこの時間ここにいるはずですが、ここにもおかあさまはおりません。外出かなとも思っていると、なんと、真上の床がきしみました。

誰かいるのです、2階に。
おかあさまの作業部屋に。

急いで階段を上がり、作業部屋に飛び込むと、知らないきらびやかな男一人、おかあさまの席に堂々と座っておいででした。
肝心のおかあさまはというと、脳天をかちわられておりました。

その部屋の赤いこと。

「おかあさま？」

揺さぶっても起きません。
叩いても起きません。
泣いても起きません。
男の人が笑っても、起きないのです。

可笑しい。
どうして僕はこんな無駄なこと
続けているのでしょう。
おかあさまは死んでいるというのに、
まるで僕はそれを理解したくないみたい＿＿

＿＿僕はショックからか、「おかあさまをかえして」としか言えませんでした。

男の人は答えるもなく、ただただ欲汚そうな声で、「ついておいで」と僕の首根っこを乱暴につかみ、大きなかごにいれようとしました。木製ですが丈夫な樫木で出来ている、ちょっと小さなかごに。

僕は捕まるのでしょうか。
ならここにはいられなくなりましょう。

それって、かあさまとも会えなくなるのかしら。

……それは、いやです。

いや。かあさまと離れたくない。

いや。

やだ！