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ろくがつのみっか ページ2
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_ウェストン祭の日
「ああ、お帰り」
「はい、只今」
僕の家は底冷えしています。氷があるわけでも風があるわけでもないのに、ただただひやりとしています。
「今日は鮭の塩焼きと煮っ転がしですよ」
「はい、おかあさま」
僕と何の血の繋がりもないこのひとは「おかあさま」。「おかあさま」であって「かあさま」ではありません。何のご厚意なのか、おかあさまは孤児の僕を手元においたのです。しかし、僕に愛情は無いようでした。
「いただきます」
「いただきます」
二人手を合わせて食べる夕餉も、美味しいのにひんやりしています。作りたてなのに、明らかに舌を焦がしているのに、冷たく感じられるのです。
「ごちそうさま」
「お粗末様でした」
僕が普通ではないからでしょうか。
僕の耳が普通でないばかりに。
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作者名:おもちもち | 作成日時:2020年2月24日 23時