にがつのみっか ページ11
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__節分の日
僕に救いを与えてくれる「僕」。
彼がかの悪名高い「四月一日」。
無邪気で、とんでもない嘘つきで、愛に飢えていて、なかなかに残酷で。
「おかあさま」が「かあさま」であって、
「かあさま」が「おかあさま」で無いように。
「四月一日」は「僕」であって、
「僕」は「四月一日」ではありません。
さて、四月一日は僕のことを邪魔だと思いつつも思いやってくれているようではありました。
__え、好かれたいと思わないのか、と?
いいえ。
彼を醜い影武者として作ったのは僕ですから。
僕も今おかあさまと同じことをしています。
ところで、僕を商い道具として扱うのはどうやら人にも妖にも一定多数いるようでした。
その度に、僕の中に宿る「四月一日」はにっかりと笑い、そして食い殺し、「取り込む」のです。
そんなことを続けていると、あっという間に四月一日も僕も強くなってしまいました。それこそ人の子一人殺すのも造作無いと四月一日が満足げに嗤うのがわかります。
でも、四月一日と僕の均衡もどんどん不安定になりつつありました。僕の眠る時間が少しずつですが長くなり、大人もつるはしも無い場所にも彼が出てくるようになりました。
まあ、そして。
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作者名:おもちもち | 作成日時:2020年2月24日 23時