クールな猫系刀剣女士は、影で刀剣男士に愛されています。【刀剣乱舞】

そのはち ページ10

「いいものも見れたことですし、お茶いれてきますね。」




前田くんはそう言って、部屋を出ていった。

それから、みんなはおもちゃの調理器具をしまいはじめる…


うん？




「もう終わり？」


「は、はい。」




側にいた五虎退に話しかけると、おずおずしながら答えてくれた。




「…私、演技とか下手だからつまらなかったのかも。」


「そんなことないですよ！終わらせたのだって、台本にあったので……あ。」


「台本？どういうこと？」




私がそう問うと、五虎退はザバンザバンと目を泳がせた。


何か企んでいるのは明白である。

…首謀者は誰だろうか。

ともかく、いいなりになっているだけであろう五虎退を問い詰めるのはかわいそうだ。

ここはひとつフォローをしておこう。




「おままごとの内容が書いてある台本、だよね？」


「いえ、そうじゃなくて…いち兄とAさんを」
「ごめんね！ちょっと連れていくよー。」




言いかけている五虎退を乱が颯爽と連れ去っていった。

そして、短刀の機動が生かされた、素早い動きで部屋を出ていった。


というか、せっかくフォローしようとしたのに自分でバラしちゃってるし。

…五虎退、嘘とかあんまりつけなさそうだからなあ。


で、みんなは何をさせようとしているのだろうか？

一期さんと、私に。



そんなことより、とりあえず片付けを手伝うか。

大量のお茶を運ぶのもたいへんだろうし、前田くんのところに行こうかな。



こっそりと部屋を出て、台所へ向かう。

ふと、ある部屋から呪詛のような呟きが聞こえ、足を止めた。


その部屋は……




「あれ。Aさん、こんなところでどうしたんですか？」




急に話しかけられ、思わず肩がふるえた。

振り返ったさきにいたのは、

大量にお茶の乗ったおぼんを手両手にのせた前田くんだった。




「別に。お茶、運ぶの手伝おうと思ったから…」


「本当ですか？ありがたいです。」




ひとつを受け取り、持っていくことにする。


部屋からは未だに呟きが聞こえてくる。

「なぜ俺じゃないんだ」「主に一番尽くせるのは俺だというのに」「あいつに俺が劣るはずがない」

…耳を澄ませば、そう言っているのが聞こえた。


長谷部、だろうか？

そういえば、最近来た日本号って槍が近侍になったんだっけ。

……長谷部の闇は相当深いなぁ。




「Aさん？」


「あ。ごめんね。行こうか。」





私は立ち止まるのをやめ、再び粟田口の部屋へと向かった。

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