２ ページ39
・
＿なんだよ、それ。
みつはどうせもう死んでるんだから、後回しってこと？
そんなの…
『そんなの、お母さんはそれで納得出来るんですか？』
今度は目を真っ赤にした横尾さんが縋るような視線を向ける。
その姿に、お母さんは少し悲しそうに微笑むと、今度はしっかりと顔を上げてオレ達に目線を合わせた。
『納得…って言われると困っちゃうけど。
…私ね、考えたの。あの子が居たら何て言うかなーって。
たぶんね、“そりゃーしょうがねーよ！ いま生きてるやつが大事だろ！” …って、たぶん、そう言うと思う』
ふふっと弱々しく笑うお母さんの目に、今日初めての涙がうっすらと膜を張った。
＿ああ、そっか。
きっと、この人もみつと一緒なんだ。
周りに心配をかけてはいけない、と
自分はどんなに辛くても、いつも何でもないって顔して、笑って。
そうして、家に帰って1人になって
やっと、泣くんだ。
それ以上は何も言えなくなったオレ達をお母さんは外まで見送ってくれた。
外の空気は相変わらず刺すように冷たくて、体の芯から冷えて思わずブルッと震える。
お母さんはオレのマフラーをしっかりと巻き直し、『最近の子はなんかみんな薄着よねぇ…』と呟いた。
そういうお母さんも、喪服の上に何も羽織らず出て来たから見るからに寒そうだ。
「…もうここで大丈夫ですよ。お母さんが風邪引いちゃう」
『ありがとう。でも、体だけは丈夫なのよ』
もうここでいい、というオレ達を無視して、お母さんは結局、式場の外まで送り届けてくれた。
『みんな、お家まで気を付けて帰ってね』
まるで、家に遊びに来た息子の友達を見送るみたいに微笑むお母さん。
ここが葬式場でさえなかったら、
きっとその後に『またいつでも遊びに来てね』という言葉が続いたであろう、笑顔だった。
式場を背にして歩き出したオレ達に、お母さんはいつまでもいつまでも手を振った。
オレは、自分に出来る事は何か、とずっと考えていた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 874人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mini7(プロフ) - 北斗七星さん、はじめまして！コメント頂いていたのに気付かず、すっかりお返事が遅れてしまってすみません（ ; ; ） 優しいコメントに癒されました♪ありがとうございます！まだまだ長くなりそうな本作ですが、今後も読んで頂けたら嬉しいです♪♪ (2017年8月4日 12時) (
レス) id: ae4bbeb56a (このIDを非表示/違反報告)
北斗七星(プロフ) - はじめまして。久しぶりに感動するお話に出会いました冒頭が涙が止まらずなかなか進まなかったのですがこのあとどうなっていくのか楽しみに読ませていただきたいと思います。まだ継続中ということなので無理せず更新頑張ってください(*´ｰ`*) (2017年6月28日 16時) (レス) id: f11e66082c (このIDを非表示/違反報告)
mini7(プロフ) - おかゆ×ももさん» おかゆ×ももサン、ありがとうございます！ ももさんのコメントに、むしろ私がウルッときちゃいました…(;_;) 私の拙い文章から色んな事を感じ取って下さって、こんなに嬉しいことはありません！(;_;) 第2章の方も、どうぞ宜しくお願いします♪ (2017年4月2日 16時) (レス) id: 7c7051b57e (このIDを非表示/違反報告)
mini7(プロフ) - maasanさん» maasanさん、コメントありがとうございます！楽しんで頂けて光栄です(*^_^*) なかなか定期的に更新出来ず、お待たせしてしまってばかりですが、第2章の方も大事に書き進めていきますので、どうぞ見守っていて下さいね♪ (2017年4月2日 16時) (レス) id: 7c7051b57e (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ×もも(プロフ) - 悲しい感じのお話だけど、Kis-My-Ft2の絆とか、大切なものを失う辛さ、すべての当たり前だと思っていることが、確率の高い奇跡なんだってことに改めて気づきました。とても感動したし、寝なきゃいけないのに、つい一気読みしてしまいました…。続編楽しみに待ってます！ (2017年4月2日 0時) (レス) id: 5fc692a4f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mini7
| 作成日時：2017年1月15日 22時
