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病院に入ると、ひんやりと涼しい空気と、病院特有の消毒の匂いが俺を包む。
北山の病室は一番奥の特別個室。
一応芸能人だし、騒ぎにならないように、と他の患者さんからは少し離れた場所を用意してもらっていた。
それなのに…
_『あっ!!北山さん!他の患者さんのゴハン取っちゃダメって、こないだも言ったでしょ!』
廊下を進んでいると、なぜか大部屋の中から聞こえるあいつの名前。
いやいや、
まぁ、よくある名前だしな…
無視して足を進めようとすると、今度は疑いようもなく聞き慣れた声が耳に届く。
『えーだって、ばぁちゃんがもう食えないって言うからー』
……。
『先生、いいのよ。みっくんが食べてくれるから、食べ物無駄にしなくて済んで嬉しいわ。』
『もう…、みなさんもあんまり甘やかさないで下さいね』
中を覗くと、そこには他の患者さんのベットに腰掛けて、ご飯を口いっぱいに頬張りながら子供達と一緒に目をキラキラさせてサッカー中継に見入っているうちの最年長…
先生はもはや諦めた様子で他の患者さんの診察にあたっている。
はぁ…
何やってんだよ…
『やった!!ゴーーール!!!』
テレビに張り付いていた北山が声を張り上げたと同時、その横にいた子供が振り返り、俺に気付いて声を上げた。
『_あっ!キスマイのイケメンの方だ!!』
病室にいた人の視線が一斉に注がれる。
「あ…、こんにちは…」
『藤ヶ谷!…って、おい。イケメンの方って、おれは何だと思ってんだよ』
北山にほっぺをつねられた子供がケタケタ笑い、俺の後ろに隠れる。
ひどく優しい顔をした北山の目が俺に向けられて、合わさった瞬間、ドキッと胸が鳴る。
『あれ?てか、ひとり??』
「いやっ…!本当はみんなで来るはずだったんだけど、あいつら余興がどうとか何とか言って、直前で来れないとか言われて、それで…っ」
なぜか言い訳をするように焦って早口になる俺を見て、ふわりと笑う。
その表情が、声が、どうしようもなく愛おしくて気持ちが溢れそうで困った。
・・・
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mini7(プロフ) - kkeeさん、コメントありがとうございます(=´∀`)♪ 素敵なお話だなんて…(。-_-。)泣 嬉し過ぎます! みっくんsideの方は、打って変わって辛いシーンが続きますが、こちらも見守ってもらえると嬉しいです!今後ともよろしくお願いします♪ (2016年8月27日 23時) (レス) id: 7c7051b57e (このIDを非表示/違反報告)
kkee(プロフ) - mini7さん、こんばんは。胸がきゅうっとしながら感動しながら読ませて貰いました。素敵なお話をありがとうございます。みっくんサイドのお話もいよいよ…となり目が放せなくて。どちらもほんとに入り込んでしまいました。想いが通じて良かったです。 (2016年8月27日 22時) (レス) id: 0990e7aceb (このIDを非表示/違反報告)
mini7(プロフ) - かりんさん!( ´ ▽ ` )♪コメントありがとうございます!!喜んでもらえて私も嬉しいです♪♪ずっと読んで下さってありがとうございます♪ そろそろ2人も素直になりますよ…!最後まで、どうぞお楽しみ下さい♪ (2016年8月27日 21時) (レス) id: 7c7051b57e (このIDを非表示/違反報告)
かりん(プロフ) - 番外編嬉しいです!でも早速みっくんピンチ( ;´Д`)2人の素直に寄り添いたいのに気を使って離れてしまう感じが凄く2人らしくて切ないです (2016年8月27日 11時) (レス) id: 6394949c3a (このIDを非表示/違反報告)
mini7(プロフ) - MONEさんっ!お久しぶりです!!もちろん覚えてますよー(=´∀`)人(´∀`=) すっかりお休みしちゃってたんですが、待ってて下さってありがとうございます(。-_-。) 番外編はこのままラストまでノンストップで行きたいと思ってますので、是非お付き合い下さい♪ (2016年8月26日 0時) (レス) id: 7c7051b57e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini7 | 作成日時:2016年5月1日 17時