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『じゃあ一度、北山くんのやつを聞いてみようか。その方が、イメージし易いと思うし。
_こないだ録音したやつあったよね?』
少し戸惑ってる俺に、先生は“大丈夫だよ”というように微笑むとスタッフさんに声をかけた。
ずっと別々に練習していたから、俺は北山の演奏をまだ一度も聞いたことがなくて
変な緊張に手に汗が滲む。
スピーカーから聞こえ始めるギターの音色
北山が奏でる、力強くてあったかい、音。
昔は北山が一人でライブでギターを弾いていた時もあったけど、こうしてしっかり彼の演奏を聞くのは久しぶりだった。
目を閉じて、隣で演奏する自分をイメージする。
ギターの音に合わせて、あいつの息遣いまで聞こえてくるような気がして…
実際今ここにはいないのに、すぐ傍に居るような、そんな感覚に胸が震えた。
曲が終わり、ゆっくり目を開ける。
『…どう?出来そう?』
先生が俺の顔を覗き込む。
「やります。」
そう答えて、脇に置いていたギターを大事に抱え直した。
クリック音に合わせてリズムを取り、弾き始める。
さっき聞いた北山の演奏がまだ耳に残っていて、それが頭の中で再生される。
その心地よい感覚に、緊張も忘れて無心で音を奏でた。
全てを弾き終わると一瞬の静寂が俺を包んで
少しして、パチパチと先生が手を叩く音が聞こえた。
『…素晴らしかったよ。藤ヶ谷くん。』
その先生の表情に、その言葉がお世話とかいった類のものではないことがわかって
ほっとして肩の力が抜けた。
よかった。
これでまた
北山の隣に立てる_
・・・
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mini7(プロフ) - み。さん» 嬉しいコメントありがとうございます!投票済と言われても、星を押して下さるその気持ちだけで、胸がいっぱいです(T_T)これからも楽しんでもらえるよう頑張ります! (2016年2月17日 0時) (レス) id: 7c7051b57e (このIDを非表示/違反報告)
み。(プロフ) - お話の書き方が物凄くお上手でとても面白いです!更新される度に星押してます!(投票済ですって毎回言われますが笑) (2016年2月16日 3時) (レス) id: f318d2817d (このIDを非表示/違反報告)
せり(プロフ) - mini7さん» 大丈夫ですよ〜♪藤北ちゃんはこうやって大きくなっていくんですから♪続き、まってます! (2016年2月5日 19時) (レス) id: 2f1917c8c0 (このIDを非表示/違反報告)
mini7(プロフ) - せりさん» せりさん、ありがとうございます!藤ヶ谷さんちょっと嫌な役回りをさせてしまっています…。ファンの方が気を悪くされないと良いのですが…汗(・_・; 今後ともよろしくお願いします! (2016年2月5日 14時) (レス) id: 7c7051b57e (このIDを非表示/違反報告)
せり(プロフ) - mini7さん» たいぴー、すごい発言でしたね…。みっくんとたいぴー、なかなおりはやくしてほしいです!続き、まってます! (2016年2月3日 20時) (レス) id: 2f1917c8c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini7 | 作成日時:2016年1月27日 0時