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抱え切れない後悔を引き摺りながら、メンバーの居る楽屋へと戻った。
楽屋の前でひとつ深呼吸して、微かに震える手でドアを開ける。
すると_
『おっ!やっと帰って来た!
よーし、じゃあやるぞー♪』
普段と変わらない調子で北山が皆に集合をかけた。
ポカンと立ち尽くす俺を、
渉が『太輔、こっち!』って呼んでくれる。
他のメンバーも、あえて何もなかったように接してくれているのがわかった。
ああ、そうか…
きっと、北山が皆にフォローを入れてくれたんだ。
北山が大人の対応をすればするほど、
余計に自分が惨めに思えた。
ぐちゃぐちゃした感情に飲み込まれないよう、俺は机の下で手をぐっと強く握った。
打ち合わせの間ずっと、ニカは北山を支えるように隣に寄り添っていた。
その目は少し赤く腫れていたけど、とても頼もしく見えて、
今の俺にはあまりにも眩しく、目を逸らしたくなった。
打ち合わせが終わると同時に
『太輔、飯行くよ。』
そう言った渉に半ば引きずられるようにして、
部屋を後にした。
向かった先は、前に俺が行きたいと言っていたモツ鍋屋さん。
それでも全く気分の乗らない俺のことなんてお構いなしに、
目の前にはグツグツと美味しそうな音を立てる鍋と、『美味しそー♪』なんて気分良く鼻歌を歌いながら、手際良く野菜やなんかを鍋の中に放り込む横尾渉。
_コンコンッ
『失礼しまーす!』
そう元気よく入って来た店員さんが、色んな種類のお肉のお皿をテーブルに並べる。
美味しそう…
北山がいたらきっと_
『みつがいたら、大喜びしそうだね。』
俺の心を読んだような声に顔を上げた。
『ん?』と微笑んだ渉から目を逸らす。
『さっ食べよー♪』
不自然なくらい、いつも通り。
そんな親友の優しさに、つい涙が滲みそうになる。
「…俺のこと、怒るんじゃないの?」
『太輔は、怒られたいの?』
答えられず黙り込む俺に、クスッとひとつ笑って、渉が続けた。
『……ほんとはね、言うつもりだったよ?
“太輔、お前の今日の態度はないだろ!”…って。』
「…」
『でも言えなくなった。』
「…?」
『太輔のそんな顔見たら、もう言えないよ。
今日のみつと、同んなじ顔してる。
悲しくて、さみしくて、でも泣くことも出来なくて…一生懸命ガマンしてる顔。』
・・・
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mini7(プロフ) - み。さん» 嬉しいコメントありがとうございます!投票済と言われても、星を押して下さるその気持ちだけで、胸がいっぱいです(T_T)これからも楽しんでもらえるよう頑張ります! (2016年2月17日 0時) (レス) id: 7c7051b57e (このIDを非表示/違反報告)
み。(プロフ) - お話の書き方が物凄くお上手でとても面白いです!更新される度に星押してます!(投票済ですって毎回言われますが笑) (2016年2月16日 3時) (レス) id: f318d2817d (このIDを非表示/違反報告)
せり(プロフ) - mini7さん» 大丈夫ですよ〜♪藤北ちゃんはこうやって大きくなっていくんですから♪続き、まってます! (2016年2月5日 19時) (レス) id: 2f1917c8c0 (このIDを非表示/違反報告)
mini7(プロフ) - せりさん» せりさん、ありがとうございます!藤ヶ谷さんちょっと嫌な役回りをさせてしまっています…。ファンの方が気を悪くされないと良いのですが…汗(・_・; 今後ともよろしくお願いします! (2016年2月5日 14時) (レス) id: 7c7051b57e (このIDを非表示/違反報告)
せり(プロフ) - mini7さん» たいぴー、すごい発言でしたね…。みっくんとたいぴー、なかなおりはやくしてほしいです!続き、まってます! (2016年2月3日 20時) (レス) id: 2f1917c8c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini7 | 作成日時:2016年1月27日 0時