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粟田口 ページ42

カタン、襖の動く音がして全員が一斉に振り替える。そこには装束を身に纏った薬研、乱、厚、平野、前田、そして五虎退が立っていた。

「……あいつが」

数秒の沈黙を破ったのは薬研だった。

「あいつが、一人で戦場に残った?」

「そう」

きっと助からないことをわかった上で。

「でも、まだ方法はある。今から__」

「ボク達を出陣させる気? 無駄だよ。いくら主さんの命令でも、それは聞けない。」

乱が綺麗な眉をひそめる。

自分の親同然である人を殺した罪を抱えて折れていく。Aからしても、乱達からしても、それは一種の罰であり償いなのかもしれない。
でも、

「……違う」

主は呻いた。


Aが罪を抱えたまま折れても、彼女が罪の意識から逃れることはできない。彼らが歪めた眉はAに向けられたまま変わらない。
ならばこんなものは『償い』などではないじゃないか。

わかっている。わかっているのに。
思いが声になることはなく、口は情けなく開閉を続けている。

「……違う、違うの」

必死に言葉を紡いだ。

『いくら主さんの命令でも、それは聞けない。』

命令なんかじゃなくて

「お願い……」

どうか、話を聞いて。

Aは、大切な人を殺したくなかった。
自分が犯したことを償いたかった。
普通に笑って、泣いて、遊び回りたかった。
皆と一緒にいたかった。

薬研達も同じだったのではないか。
好き好んで兄弟を憎んでいる訳じゃない。
けれど互いを支えとする彼らは、暖かく接すると共に互いに厳しくなくてはならなかった。

大切な人の死がその厳しさを憎しみへ曲げてしまったのではないか。

曲がってしまったのなら、また直せば良い。


今の主にはそれを伝える言葉が足りなかった。
あと少し、もう少しなのに。

時間が自分を嘲笑いながら駆け抜けていく。

早く、声を出さなくては。

伝えなくては。


「__主殿」

優しい声が降ってきた。
微笑みを浮かべた一期一振が薬研達の後ろにたっている。

「いち兄……」

弟達を見て表情を引き締めた彼は、ゆっくりと口を開いた。

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aoi - とても面白くて好きです!良ければ更新してくださいませんか? (3月19日 17時) (レス) @page44 id: 91a548d4bc (このIDを非表示/違反報告)
凛音 - これで終わりなのが寂しいです。もし続きが書けるのであれば書いてほしいです!図々しくてごめんなさい。 (1月2日 12時) (レス) @page44 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
pokopokopo77(プロフ) - 終わっちゃったんですかね…もしまだ続きがあったら読みたいです! (2022年3月28日 12時) (レス) @page44 id: f4ea1f05f5 (このIDを非表示/違反報告)
花吹雪 流華 - 早く続きを見てみたい‥‥‥‥です!キラキラ (2021年4月30日 23時) (レス) id: fd3650f0e7 (このIDを非表示/違反報告)
七夏(プロフ) - 面白いです!続きを楽しみに待ってます! (2021年3月30日 11時) (レス) id: 716685a2fc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のっと x他1人 | 作成日時:2017年3月8日 22時

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