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裏切り者の私 ページ35

「無銘」

その夜。縁側を歩いていると聞きなれた声に呼ばれて振り返った。薬研さん、乱さん、厚さんなど粟田口の短刀の人達が立っている。

「……何ですか?」

「今日のお使い、帰った五虎退が急に泣いたんだ」

どうしてか知ってる?、乱さんが大きな目をこちらに向ける。他の人も同じような目で私を見た。確かに、この場に五虎退さんは居ない。

「……お使いのときに、はぐれてしまって……私が泣かせてしまったんです。ごめんなさい」

私が頭を下げると同時に声が聞こえた。ふざけるな。確かにそう言っていた。
厚さんだった。その顔は怒りで紅潮して、握りしめた拳が震えていた。

「何が“はぐれてしまった”だ! 五虎退は俺達の大事な兄弟だ! そんな兄弟をお前は気にも止めなかったんだろ⁉ 裏切り者!」

鈍い音と共に私の身体は後方に飛んだ。何が起こったか分からなかったが、床に思い切り頭を打った痛み、頬の痛みで気づいた。そうか、私、殴られたんだ。

「落ち着け、厚」

「でもっ……!」

「いいから」

薬研さんが厚さんの肩に手を置いた。

「……近づかないでください。」

見上げると、前田さん、平野さん、秋田さんが睨んでいた。

「もう、僕達に近づかないでください……!」

「……え」

「裏切り者と、無銘と一緒にいたくないんです!」

頭が真っ白になった。一瞬、自分の存在すらわからなくなった。

「いっしょに……」

<一緒にいたくない>

身体に何か冷たいものが流れていったような気がする。喉がひきつった。

しかし、それと同時に脳は狂ったように回り始めた。

「……じゃない」

裏切り者?

「好きで殺したんじゃない、気にも止めなかった訳じゃない!」

私は

「私は、ずっと一緒に居たかった! 吉光様を斬るなんてしたくなかった! 側にいてほしかった、離れたくなかった、笑っていてほしかった! 兄さん達と――」

はっと我に返る。私は何を言ってたんだ?

気にも止めなかった訳じゃない? はぐれたのに気付かなかったじゃないか。
ずっと一緒に居たかった? 裏切り者の私が何を言う。

兄さん? 私がその言葉を言う資格なんてあるはずないのに。

「……ぁ、ごめ、なさ……」

ごめんなさい

私は逃げた。

しかし、
「!……っう、ぅあ゛」

息も出来ないほどの頭痛。思わず膝を落とす。

「いっ……っゴホッ!ッ」

肺中の空気と共に、大量の血液が喉を駆け抜けた。

<不具合……>

赤かった視界が歪み、真っ黒に染まった。

悩んで、泣いて→←謝罪です※駄作者より


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aoi - とても面白くて好きです!良ければ更新してくださいませんか? (3月19日 17時) (レス) @page44 id: 91a548d4bc (このIDを非表示/違反報告)
凛音 - これで終わりなのが寂しいです。もし続きが書けるのであれば書いてほしいです!図々しくてごめんなさい。 (1月2日 12時) (レス) @page44 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
pokopokopo77(プロフ) - 終わっちゃったんですかね…もしまだ続きがあったら読みたいです! (2022年3月28日 12時) (レス) @page44 id: f4ea1f05f5 (このIDを非表示/違反報告)
花吹雪 流華 - 早く続きを見てみたい‥‥‥‥です!キラキラ (2021年4月30日 23時) (レス) id: fd3650f0e7 (このIDを非表示/違反報告)
七夏(プロフ) - 面白いです!続きを楽しみに待ってます! (2021年3月30日 11時) (レス) id: 716685a2fc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のっと x他1人 | 作成日時:2017年3月8日 22時

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