お使い ページ33
「うぅ……ぐす、どうしよう……」
あんなに「はぐれないでください」って言われたのに、はぐれてしまいました。周りは知らない人ばかりだし、さっき転んだ足は痛いし。お使いが終わって後はあるじさまのところへ帰るだけなのに……。
<主さん! 五虎退が無銘とお使いだって本当⁉>
兄さんがそう言っているのを思い出しました。
<そうだよ、二人とも今日はもう出陣はないから>
<正気か、大将? あんなやつが五虎退に手を出したら――>
<Aはそんなことしないよ。絶対に。>
<でも……!>
<五虎退はどう? 行ってきてくれる?>
断れませんでした。あるじさまに迷惑かけたくなくて。
でも、今日の無銘さんはいつもよりもっと怖かったです。ずっと何かを考えているようでした。
「あれ、君どうしたの?」
「!」
驚いて見上げるとそこには知らない人が。
「もしかして迷子? どこの本丸か言える?」
「えっと……あ、あの……」
本丸の番号は言えるけれど、知らない人に尋ねられて上手く言葉が出ませんでした。
「その……うぅ」
上手く喋れない自分が情けなくて涙が出てきそうでした。
「え⁉ 泣いちゃった⁉ どうして……ほら、怖くないから」
「うぅ……」
「見つけた!」
突然、聞き覚えのある声が聞こえました。その方向をゆっくり見ると
「無銘……さん」
「よかった」
息を切らしながら無銘さんはこちらに走ってきました。
「目を離してしまって申し訳ありませんでした。……そちらの方は」
「あぁ、いや、本丸を訪ねようとしたら泣かせちゃって」
「心配かけて申し訳ありません」
無銘さんは頭を下げました。泣いたのは僕なのに……。
「帰りましょう、五虎退さん」
「は、はい」
僕は無銘さんの隣に並びました。
本丸に帰る間、僕は考えました。僕がただ泣いているだけだったとき、無銘さんはずっと僕を探してくれていたこと。
確かに吉光公を斬ったときは怖かったけれど、でも本当は優しい人なんじゃないでしょうか。
<五虎退兄さん!>
……優しい人なはずです。
「五虎退!」
気がつくと本丸に着いていて、兄さん達が待ってくれていました。
「兄さん!」
思わず駆け出して抱きつきました。
「帰りが遅いから心配したよ。無事でよかった」
無銘さんが横を通りすぎるのが見えました。あんなに優しくしてくれたのに、抱き締めちゃだめなんて。
ごめんなさい、A
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aoi - とても面白くて好きです!良ければ更新してくださいませんか? (3月19日 17時) (レス) @page44 id: 91a548d4bc (このIDを非表示/違反報告)
凛音 - これで終わりなのが寂しいです。もし続きが書けるのであれば書いてほしいです!図々しくてごめんなさい。 (1月2日 12時) (レス) @page44 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
pokopokopo77(プロフ) - 終わっちゃったんですかね…もしまだ続きがあったら読みたいです! (2022年3月28日 12時) (レス) @page44 id: f4ea1f05f5 (このIDを非表示/違反報告)
花吹雪 流華 - 早く続きを見てみたい‥‥‥‥です!キラキラ (2021年4月30日 23時) (レス) id: fd3650f0e7 (このIDを非表示/違反報告)
七夏(プロフ) - 面白いです!続きを楽しみに待ってます! (2021年3月30日 11時) (レス) id: 716685a2fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のっと x他1人 | 作成日時:2017年3月8日 22時