裏庭 ページ13
Aは一人、裏庭に居た。今日の分の仕事が早く終わり、何もすることが無かったからだ。
縁側に座ると、風が頬をくすぐった。鳥の声が風の音に混じる。
「仕事は終わったのか?」
「長谷部さん……! はい、終わりました」
Aの横に長谷部が腰を掛けた。
広い中庭の方から短刀達の笑い声が聞こえた。長谷部はそっと隣を見る。Aは相変わらずの無表情だった。
Aが殺風景な裏庭に居たのは、兄弟達と顔を会わせないようにという理由もあった。「顔を会わせてしまったら、彼等の笑顔を奪ってしまう」というのがAの考えだ。
「……この前は悪かったな」
Aは首を傾げた。
「この前って?」
「愛染が修行中だったとき……あまり側に居れなくて」
長谷部が目を伏せる。いくら他の刀剣に捕まったからとしてもやはり罪悪感はあったのだ。
しばらくして、Aが口を開いた。
「いえ、謝らなくても……私は大丈夫だったので」
Aが大丈夫じゃなかったことを長谷部は知っている。だからその言葉を言っているAの気持ちが分かるような気がした。
―――ガサガサッ
茂みの中から飛び出したのは五虎退の虎だった。大きな虎はゴロゴロと喉を鳴らしAの元にやってくる。
Aは少し戸惑ったあと、手を伸ばして虎の柔らかい毛を撫でた。Aが目を細める。まるで笑ったように。
その様子を長谷部はしばらく見ていた。が、急に立ち上がると近くに合った小石を拾った。
そしてそれを葉が茂る木に向かって思いきり投げた。
「長谷部……さん……?」
恐る恐るAが声を掛ける。その直後に、木から白い影が落ちてきた。
「盗み聞きとはいい度胸だな
――――鶴丸?」
「バレてるとはな、こいつは驚いた」
白い影――――鶴丸は自身に着いた砂をはらっていく。
「鶴丸さん」
「この前―――医務室では悪かったな」
「お気になさらず」
Aが首を振る。それから……と鶴丸は懐から紙片を出した。
「A、出陣だ。演戦に行ってもらう」
Aは「拝命致しました」とだけ言うと消えるように主の元へ駆けていった。
「消えた……? 相変わらずだな、小さい長谷部は」
「なんだその『小さい長谷部』とやらは」
呆れたように言うと長谷部は、ぐるりと目線をあるところに向ける。同じところに鶴丸も向けた。
「もういないぞ―――――
五虎退、秋田」
木の陰から二振りの短刀が出てきた。
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aoi - とても面白くて好きです!良ければ更新してくださいませんか? (3月19日 17時) (レス) @page44 id: 91a548d4bc (このIDを非表示/違反報告)
凛音 - これで終わりなのが寂しいです。もし続きが書けるのであれば書いてほしいです!図々しくてごめんなさい。 (1月2日 12時) (レス) @page44 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
pokopokopo77(プロフ) - 終わっちゃったんですかね…もしまだ続きがあったら読みたいです! (2022年3月28日 12時) (レス) @page44 id: f4ea1f05f5 (このIDを非表示/違反報告)
花吹雪 流華 - 早く続きを見てみたい‥‥‥‥です!キラキラ (2021年4月30日 23時) (レス) id: fd3650f0e7 (このIDを非表示/違反報告)
七夏(プロフ) - 面白いです!続きを楽しみに待ってます! (2021年3月30日 11時) (レス) id: 716685a2fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のっと x他1人 | 作成日時:2017年3月8日 22時