・ ページ33
「…A、ジスどう？」
「寝てます。少し良くなったみたいです」
「良かった…、はあ安心した」
スンチョリオッパも仕事を後日に振り替えて、宿舎に残ってくれている。俺も終わらせなきゃならないタスクがあるから、むしろ良かったよ、と笑う優しいリーダー。
今日起こしに来た時は心臓が止まるかと思った。
すごく汗をかいているし、身体は冷たいのに熱だけは高くて、目が虚ろだった。
急いでスンチョリオッパを呼んで、車をマネージャーさんに出してもらった。病院に向かう間も、目は開いているけど焦点があっていないし、起きてはいるものの何も意思疎通ができない。
僕は大丈夫だから、何も迷惑かけないから、と何を話しかけてもそう返ってきた。息を吐くような声量で、耳を澄ませなければ聞こえないほど。
「Aも怖かったろ？大事に至らなくて、本当に良かったけど」
「怖かったけど、少し怒ってます。…シュアオッパ、ストイックなのは良いけど、少しくらい寄りかかって欲しいですよね」
「ふふ、それをジスはいつもAに思ってるんだよ。これで、気持ち分かったよな？」
「…はい、痛いくらい」
相変わらず、汗は引かない。
濡らして絞った、柔らかいタオル。熱にハーブが効果的って聞いたから、精油とハーブオイルをお湯に混ぜて染み込ませたタオルにしてみた。
スンチョリオッパはいい匂いだって笑ってくれた。少しでも効くといいな、気持ちも安らいでほしい。眠っている間もいい夢でありますように。
「…スンチョリオッパ、私そろそろ夜ご飯作りますね」
「お、デリバリーじゃなくていいのか？A大変だろ」
「ううん、久しぶりにみんなでご飯だし私が作りたいです」
「ん、分かった。ありがとな」
スンチョリオッパは抱きしめるとき「ん〜！」って言いながらぎゅーってする癖があるの、すっごくかわいい。直して欲しくないから、絶対言わないけど。
皆はシュアオッパが心配だから、スケジュールが終わったら真っ直ぐ帰ってくるんだ。皆のそういうとこ、好き。
キッチンに立って準備をしていると、廊下からスンチョリオッパの咎める声が聞こえる。もうだいたいの想像がついた。体調が良くないとき、皆私がそばにいないと探しに来るもん。
「もう、シュアオッパ…」
「…なんでスンチョリなの。Aが居てよ」
「やー！俺じゃ何が嫌なんだよ！」
口を尖らせるシュアオッパ。諌めるようにしたオッパとのハグは、甘いハーブの匂いでいっぱいだった。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1674人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
＊ゆいな＊(プロフ) - 更新待ってました（ ; ; ）最高です！今まで読んできたお話の中で一番大好きで何度も何度も読み返しました！！更新もちゅんちゃんさんのペースで無理しないで下さいね(*^^*)いつも応援してます！大好きです！ (2021年6月12日 11時) (
レス) id: 805ae0b089 (このIDを非表示/違反報告)
フィガロ - 更新はもうしれないのでしょうか（ ; ; ）？ 突然更新が途切れてしまったので心配です…お知らせなどでもいいので何か報告待ってます(^^) お話の内容とっても好きです！更新も楽しみにしていますm(_ _)m (2021年5月19日 0時) (レス) id: 2c85f96aa8 (このIDを非表示/違反報告)
＊ゆいな＊(プロフ) - 久々の投稿ありがとうございます！！！！ハニオッパきゅんきゅんしました！！ (2021年3月30日 20時) (レス) id: 805ae0b089 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 更新待ってます！ (2021年3月5日 0時) (レス) id: 68c62b5d72 (このIDを非表示/違反報告)
さか(プロフ) - ふわふわした話だけじゃなくて、少し辛いお話が混ざってるのがとても好きです。でも、あまり過度ではなく直接的な痛い表現などは避けて書かれているのかなと伺えるので読んでいても辛い気持ちにはなりません。程よく読みやすくとても好きなお話です。 (2021年2月13日 6時) (レス) id: 4188621a8f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゅんちゃん | 作成日時：2020年11月27日 8時
