時間は忘れてくれない ページ26
ミンギュが、Aの地雷を踏んだ。
あまりにも自然に、Aの突かれたくない心のある場所に、土足で踏み込んでしまった。
ここに、全員が居なくてよかったと思う。少なくとも彼女より年下の弟たちには、Aは情けなく弱い部分を見せたくないと言っていたことがあるから、勘づかせることすら嫌がっただろう。
ここに居るのが寝起きの良いウォヌとミンギュ、そして俺たち最年長だけでよかったと思うよ、本当に。
「Aってさ、公演に家族は呼ぶけど、友達呼ばないよね。女の子でも呼ばないじゃん」
「…そうだね、呼んだことないね」
「どうして？友達居ないの？」
「ミンギュやめろ、聞かれたくないことだってあるだろ」
「なんで？A可愛いから、友達居ないわけないじゃん」
「…ミンギュ、いい加減にしろ」
俺とウォヌが止めに入っても、ミンギュは分からない、というふうに首を傾げる。Aは、日本の公演でも、一切私的な友人の招待はしない。親戚や家族を招待はしても、Aの友達という人物に1人も俺たちは会ったことがないのだ。
Aは黙って居たが、納得していなさそうなミンギュの顔を見て一言だけ、至極言いたくなさそうに言葉を紡いだ。
「学校で虐められてたから、友達は居ないの。こっちに来る時に、わざわざ携帯も変えてる。それだけ」
「……え？」
「…もういい？この話したくないの」
俺とウォヌはあの日Aを迎えに行った車の中で、Aからとある昔話をされていた。何となくそれで想像はついたことだったから。
凍った空気のなか、Aの頭を撫でたら泣きそうな顔をしていた。目配せをしたウォヌにAを預けた時、ジョンハンとジョシュアがスンチョラ、と呼ぶその声になぜか俺の背筋が凍った。
部屋を変え、俺がベッドに腰かけ2人がクッションに座ったとき何故か、俺が尋問を受けているような気さえした。
「…いや、その。俺も虐められてるってはっきり聞いたことないよ」
「でもウォヌも、わかってる顔してたよね？僕たちには、隠すの？」
「だから、…Aがぼそっと言っただけなんだよ」
「それが聞きたくてここに来たんだよバカ」
車の中で、Aは窓を眺めながら言ったんだ。
『家族にね、色紙書いてってたくさん渡されたの。…中学の同級生の名前もあって』
『私のことが、自慢なんだって』
『…私は彼女に言われたこと、ずっと忘れられないのに。都合の悪いことは、忘れちゃうんだね』
『…ずるいよ』
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＊ゆいな＊(プロフ) - 更新待ってました（ ; ; ）最高です！今まで読んできたお話の中で一番大好きで何度も何度も読み返しました！！更新もちゅんちゃんさんのペースで無理しないで下さいね(*^^*)いつも応援してます！大好きです！ (2021年6月12日 11時) (
レス) id: 805ae0b089 (このIDを非表示/違反報告)
フィガロ - 更新はもうしれないのでしょうか（ ; ; ）？ 突然更新が途切れてしまったので心配です…お知らせなどでもいいので何か報告待ってます(^^) お話の内容とっても好きです！更新も楽しみにしていますm(_ _)m (2021年5月19日 0時) (レス) id: 2c85f96aa8 (このIDを非表示/違反報告)
＊ゆいな＊(プロフ) - 久々の投稿ありがとうございます！！！！ハニオッパきゅんきゅんしました！！ (2021年3月30日 20時) (レス) id: 805ae0b089 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 更新待ってます！ (2021年3月5日 0時) (レス) id: 68c62b5d72 (このIDを非表示/違反報告)
さか(プロフ) - ふわふわした話だけじゃなくて、少し辛いお話が混ざってるのがとても好きです。でも、あまり過度ではなく直接的な痛い表現などは避けて書かれているのかなと伺えるので読んでいても辛い気持ちにはなりません。程よく読みやすくとても好きなお話です。 (2021年2月13日 6時) (レス) id: 4188621a8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゅんちゃん | 作成日時：2020年11月27日 8時
