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〔A〕
無事に飛び立ったヘリを見送って、一つ大きく息を吐いた。さて、自分の仕事をしなければと目の前の患者へと意識を戻す。
『ここじゃヘリから遠すぎます。あちらの患者の近くへ運ぶので手伝って貰えます?』
声を掛けたものの返事もままならない新人くんに、つい口調が荒くなる。この先、他の現場で同じ様な事をされちゃ堪らないと、比較的大きく声を張り上げる。
『…自分が出来ないなら他の人間呼んで来い!突っ立ってるだけなら邪魔だ。』
「…っ、す、すみません。ストレッチャーに移すんですよね、あの、他にも人手呼んできます。」
走り出した方向から一度足を止めて、逆方向に走り出す新米くんを横目に、最低限自分の仕事をしてくれれば良いか、多少の狼狽えには目を瞑ろうと小さく溜息を吐いた。
『こっちにお願いします。』
「は、はいっ。」
時折吹き降ろす風に、舞う髪の毛を軽く振り払いつつ雪村の元へ急ぐ。向かった先で、脈に触れていた雪村が足音とキャスターの音に顔を上げ、僅かにほっとした様な表情に変わったのを見て、流石に患者から長く離れすぎたかと反省しつつ、ヘリがいつ戻るか把握しておく。
『ヘリはどの位で戻る。』
「5分程で戻るそうです。A先生、バイタルに大きな変化はありませんでした。」
『分かった。任せて悪かったな。』
驚いた様に大きく目を開いた彼女は数回、目線を彷徨わせた後"仕事ですから"と呟いた。
もう一度バイタルの確認をしようとストレッチャーから離れた時、頭上で何か異音がして見上げた先には、足場を覆っていたであろう何かがはためいていた。同じ様に見上げた雪村が不安そうに呟く。
「あれ、もし飛んできたら…。」
『…今は、飛ばない事を願うしかないな。』
吹き降ろす風に目を細めて、すぐ戻るであろうヘリと名取を待つ為に患者へと手を伸ばした。
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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (2019年8月30日 9時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
再びこなみ - 17 遥→はるか (2018年8月16日 9時) (携帯から) (レス) id: cb44cdb910 (このIDを非表示/違反報告)
こなみ - 8 遥→はるか (2018年8月16日 9時) (携帯から) (レス) id: cb44cdb910 (このIDを非表示/違反報告)
東雲 昴流(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます!ふと思い出して書き始めたので遅くなってしまうかと思いますが、頑張ります…! (2018年7月28日 19時) (レス) id: ad54c4129e (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 続き楽しみにしております。 (2018年7月28日 17時) (レス) id: 15bef8530f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:東雲 昴流 | 作成日時:2017年8月18日 1時