コード・ブルー ‐もう一人の医者‐ (ページ24)

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〔A〕

あの騒動の後の医局は、本当に最悪な空気で。特に、緋山先生が完全に御立腹で誰も話掛けられない状態だった。どうか自分に怒りの矛先が向きません様に、と願ったのも虚しく未だ御立腹の女王様に捕まった―――

「A、そこ座んなさい。」

『…はい。』

「あのねA、あんたが心外のコンサルを受けなくて良いのまで受けてるから、救命が暇だと思われてんのよ。あんたの腕を必要としてる時に行きなさい。どうでも良い時は断んなさい！」

『…すみません。』

「どーせ断るの苦手なんでしょ？あたしに代わんなさい、断ってやるから。」

緋山先生に断って貰うと喧嘩を売りそうでまずい

『…いえ、自力で頑張ります…』

ダンッ、とデスクに手を着いて身を乗り出した緋山先生は、未だ怒っていらっしゃる様で。

「今日からやって。無駄にコンサル行こうもんなら処置室から追い出すよ。嗚呼、誤魔化そうとしても無駄だから、あたしの情報網甞めないでよ。」

『…はい。』

救命の女性は怒らせてはいけない、と御立腹の緋山先生を前に再び肝に銘じた。あと医局の隅でニヤニヤしてる名取、お前後で覚えとけよ。

「おっはよー！あれ？何？どうしたの？なんかあった？」

「藤川先生…」

タイミングが良いのか悪いのか、丁度整形外科に行っていた藤川先生が戻ってきた。嗚呼、これだけ騒ぐと怒られるだろうな、と思っていた時。

「藤川、五月蝿い。」

「ちょっと黙って。」

「あ…はい。」

嗚呼、やっぱり…冴島さんと緋山先生2人に怒られた藤川先生が肩を落としてる。丁度目が合った白石先生が苦笑すると、すかさず緋山先生がバッと振り向いた。

「白石、あんた何笑ってんの。あんたもビシッと言ってやんなさいよ！」

「ご、ごめん…」

「あーもう！下のコンビニ、行って来るから！！」

肩を鳴らしながら歩いていく緋山先生を、そっと見送って小さく息を吐く。ポケットで震える感覚に個人のスマホを開けば、SNSで颯馬からメッセージが。

―――ドンマイ。
　怒られてるA、久々に見たわ。笑―――

スマホから顔を上げて振り向けば良い笑顔で颯馬が笑っていた。成る程、そっちがその気なら乗ってやろうじゃないか。負けず嫌いの血が騒ぐ。

『白石先生。今日、名取先生の指導に着きます。』

「え？あ、うん。良いよ？」

『…名取先生。今日、指導担当するから、宜しく。』

―――みっちり鍛えてやるから宜しく、名取先生？