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「結局全部あんたの思い通りってわけか」
時計が零時を回る頃、2人の青年が暗い路地裏に相対していた。同じ髪色に同じ色の瞳。
包帯をした青年は無表情で薄く笑っている目の前の青年を見つめる。
「金を受け取ったら帰れと云っただろう」
「冷たいねぇ。俺があんたの代わりに手を汚してあげたってのに」
青年は茶封筒を宙に投げては取るを繰り返す。
ルヴは不快そうに眉を寄せた。
「お望み通りに人は殺さないでやったよ。全くこんな注文の多い客も初めてだよ。あれをしろ、これはダメだ。あー、めんどくせぇ!!」
まあこっちは雇われてますし? 雇い主のニーズには答えますけどね?と青年は笑う。
「まあ最近は殺しばっかりするのも飽き飽きしてた頃だし、有難かったけどね」
「………」
「やだなあ。そんな顔すんなよー。俺だって好きでこんな仕事してるわけじゃねぇんだよ? けど仕方ないだろー? それが俺の"役割"なんだからさ」
もう割り切っちゃってますよ、と青年はやれやれと肩を竦める。ルヴの表情が少し和らいだ。
「そうだったな。お前はそういう運命にあるんだった」
「この世界では雇われたら誰でも殺す失敗なしの殺し屋なんでね。けどまた別の世界では逆に人救ってるとか笑えるよなー。……ま、俺も最初はかなり精神に来てたけどね。もう慣れた」
そう云う青年の目は黒く濁っていた。
ルヴは居た堪れない気持ちになる。
ーーそういえば、前の主人も同じような目をしていた。
「ーー狂わないとやってけねぇよなあ。こんなこと」
そうぽつりと呟いた青年の声は、今にも泣き出しそうな子供のようで、ルヴは、そうだなと応え、目を伏せた。
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★ayaka★(プロフ) - 面白かったです。続き待ってます (2019年10月26日 22時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)
きなっちょ@本垢(プロフ) - 公開おめでとうございます~!!これからも応援してます!! (2019年10月26日 0時) (レス) id: 9d0e711e2b (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - 公開おめでとうございます!ずっと待ち構えていました!これからも応援してます! (2019年10月25日 20時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年10月15日 19時