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「…………痛い」
ルヴは頭頂部を擦りながら非難がましい目で国木田を見た。
国木田は拳を擦りながら、「お前が悪い」と云う。
熱心に鞄を見ていたルヴは、突然、これを買うと言い出した。金はあるのかと国木田が訊けば、ないと云う。
ならば何故買うなどと云ったのか。
ルヴは綺麗な金の瞳で国木田を見つめた。
そして察した国木田はルヴの頭に拳骨を落とし、問答無用でルヴを引きずり、その場から去ったのである。
誰かこいつに常識を教えろ。常識を!!
国木田は心の中でそう叫んだ。
「何で買ってくれないんだ」
「むしろ何故買って貰えると思ったんだ?」
「皆、買ってくれるぞ」
おい誰だ。こいつをこんなに甘やかした奴。
それは3人ほど居るが、その内2人は世界的な音楽家で、もう1人は国木田も知っている───恐らく会いたくはないだろう───露西亜人である。
ルヴにはお金を払うという概念は無いに等しかった。
「お前、働いてないのか?」
「家で働いてる。料理作ったり、洗濯物したり……」
「ヒモか」
「俺は紐じゃない。人間だ」
そっちの紐じゃない。というツッコミをするのも面倒になった国木田は、一刻も早くこの青年と離れたかった。
「お前の目的地は何処だ。そこまで俺が連れて行って───」
「…………火薬の匂いがする」
青年は突然、そんなことを呟いた。
火薬だと?と国木田が訝しげに眉を寄せた次の瞬間───、
鼓膜を貫くような爆音が響いた。
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★ayaka★(プロフ) - 面白かったです。続き待ってます (2019年10月26日 22時) (レス) id: 65fd904e63 (このIDを非表示/違反報告)
きなっちょ@本垢(プロフ) - 公開おめでとうございます~!!これからも応援してます!! (2019年10月26日 0時) (レス) id: 9d0e711e2b (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - 公開おめでとうございます!ずっと待ち構えていました!これからも応援してます! (2019年10月25日 20時) (レス) id: 5cd376c69b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年10月15日 19時