配達三三:お兄さん、弟子と遭遇する ページ41
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「あっという間に片付いちゃったね! 流石レイくん!」
それは任務の帰り道だった。
「首領から許可貰ったから、帰ったら何か作って食べよう! レイくんと晩御飯なんて本当に久し振りで───」
「ありしま」
「ん?」
「まえ」
「前? ⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅嗚呼」
有島は視線を前に戻し、ため息のようなものをついた。
目の前に立っているのは砂色の外套を身に纏った嘗ての弟子だった。
厄介だなあ、と思いながらも有島は笑う。
「どういうつもりですか。先生。マフィアに返り咲くだなんて」
「そうだね、お兄さんも吃驚してる」
「先生、先生は何時からそんなに笑うのが下手になったのですか?」
笑う有島。険しい表情の太宰。
「一体貴方は何に怯えている? あれほどの頭脳を持っていながら、一体何に? 貴方をそうまでさせるのは⋅⋅⋅⋅⋅⋅何なのですか?」
「おい、」
レイは少しばかり眉を寄せ、太宰に詰め寄る。
それを制止したのは有島だった。
「大丈夫だよ、レイくん。治、君の問いに答えよう。
俺が何に怯えているのか。答えは、────俺だ」
「自分自身?」
「正確に云えば、"穢れてしまった自分"かな。
俺は昔娼館で働いていた。この顔だから"仕事"も多くてね。中には酷い客も居るもんで、殴られ、蹴られ、縄で縛られたり、鞭で打たれたり⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅嗚呼、そう。その痕が未だ残っていてね、それを見る度に思うんだ。
─────何て汚いのだろうと」
「俺は汚れてしまった。身体も心も、何もかもだ。元々潔癖だった俺はそれが赦せなかった。耐えきれなかった。だから、"私"になった。偽りの自分を演じようと思った。
上手くやれていたと思っているよ。だけど、気付かないうちに内側から壊れていったようでね、何時からか死にたいと思うようになった」
配達番外:お兄さんとレイくん(絵)※ちょっと距離が近い→← 独白
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もこ(プロフ) - 初コメ失礼します!私男主の愛され大好物なので嬉しいです!文ストのキャラ全員推しなので嬉しいです!更新頑張ってください! (5月22日 13時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
水耶(プロフ) - 北森くん出てきてくれてめっちゃ嬉しかった!隼ってでてもしかしてって思ったけど、、灯さん天才すぎます!感謝しかない! (2023年1月17日 15時) (レス) @page20 id: 4c6b81a587 (このIDを非表示/違反報告)
野良神@アホの子症候群(プロフ) - 一部完結おめでとうございます! (2019年2月16日 15時) (レス) id: 98ee09b097 (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - ありしまま……………好き。一部完結おめでとう! (2019年2月16日 15時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - あああああ愛してるありしまんまみーや……今日の学校のクソさが全て洗い流された好き…… (2019年2月16日 13時) (レス) id: c18a6b747d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nyam83542/
作成日時:2019年2月4日 21時