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配達十六:お兄さん、語り始める ページ21










「ふーん、鴻君って云うのかあ⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅良い名だね」



「何処にでもある名前でしょ」



「うん? うーん⋅⋅⋅⋅⋅⋅そうかなあ⋅⋅⋅⋅⋅? お兄さんが素敵だと思ったら素敵なんだよ」



「どういう理屈⋅⋅⋅⋅⋅」




北森は呆れたように呟くが、有島に顔を戻すときは笑顔を作る。
そんな北森を見て、有島は曖昧に笑う。





「君を見ていると、弟子を思い出すよ」



「弟子?」



「そう。一寸生意気で、優秀で、何時も笑顔な子。その子の笑顔は迚も魅力的だけど、何処か作り物のようでね。⋅⋅⋅⋅⋅⋅まあ、その作り物の笑顔はお兄さんが教えたものなんだけど」



何処か遠いところを見つめ、語る有島を北森は見つめていた。



「"何時も余裕な態度を見せろ。相手を動揺させるにはそれが一番の薬だ"ってね。笑顔のポーカーフェイスを絶対に崩すな、忘れるなと教え続けてきた。見事に習得してくれたよ」



そう云って目を細める有島。北森はその時、気が付いた。この男も自分と同類の笑みを浮かべていると。


だが、それは北森のものよりもずっと精巧で、一部の隙もない。普通の者から見たら─────いや、鋭い勘を持った者でも、

それが"偽物"だと気付かないであろうほど精巧なそれに、北森は思わず息を呑んだ。




「表情というものはね、時と場合によっては相手の隙を作る武器になる。相手に恐怖を与えることだって出来る。⋅⋅⋅⋅⋅⋅だから、俺は─────」



有島はふっと目を伏せる。




「あの子を、"作り物"にしてしまったんだ」




「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅作り物」




「おあっ! 御免! おにーさん、何か変なこと云っちゃったね! 気にしないでくれ⋅⋅⋅⋅⋅⋅っていうか忘れて」




否、忘れられるわけないだろ。と北森は心の中で突っ込みをいれる。



「っていうか、一体何の仕事して⋅⋅⋅⋅⋅」



「ん? 配達員のお仕事」



「⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅何で配達員に弟子が居るの」

配達十七:お兄さん、隼と仲良くなる→←配達十五:お兄さん、隼に出会う



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もこ(プロフ) - 初コメ失礼します!私男主の愛され大好物なので嬉しいです!文ストのキャラ全員推しなので嬉しいです!更新頑張ってください! (5月22日 13時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
水耶(プロフ) - 北森くん出てきてくれてめっちゃ嬉しかった!隼ってでてもしかしてって思ったけど、、灯さん天才すぎます!感謝しかない! (2023年1月17日 15時) (レス) @page20 id: 4c6b81a587 (このIDを非表示/違反報告)
野良神@アホの子症候群(プロフ) - 一部完結おめでとうございます! (2019年2月16日 15時) (レス) id: 98ee09b097 (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - ありしまま……………好き。一部完結おめでとう! (2019年2月16日 15時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - あああああ愛してるありしまんまみーや……今日の学校のクソさが全て洗い流された好き…… (2019年2月16日 13時) (レス) id: c18a6b747d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nyam83542/  
作成日時:2019年2月4日 21時

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