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お風呂から上がって、服に着替えて。
すると、ドアの向こうから宮舘くんの声が聞こえる。
「着替えた？入ってもいい？」
「うん、大丈夫」
すると、ノックを３回し遠慮がちに入ってきた宮舘くん。
私の姿を見て顔を赤くしたが、耐えるように拳に力を入れる。
そしてドライアーを手に取り、私を洗面台の前に立たせた。
「乾かすからジッとしててね」
私の髪に指を通し、ドライアーのスイッチを入れる。
生暖かい風が髪と髪の間を通り抜け、微風が肌を撫でる。
「髪綺麗だね」
そっと呟かれた言葉に胸がトクンと揺れる。
振り向くことが出来ず固まっていると、目の前の鏡の中の宮舘くんと目が合った。
すぐ逸らしてしまう。
その間にも彼の手は私の髪を丁寧に乾かしていて。
近い距離、近い鼓動。
けど、それら全てが私を安心させて。
冷えきった心が少しずつ熱を持っていった。
最後まで乾かしてもらい、また宮舘くんの部屋に連れていかれる。
「ベッドなんかに座ったらホントにだめだから、そこ座って」
言っている意味が分からなかったが、言われたとおり床に座る。
小さなテーブルを挟んで宮舘くんも座った。
「で、なんで渡せなかったの、そのプレゼント」
びしょ濡れになった紙袋は、タオルの上に置かれていて。
横目でそれをみた宮舘くん。
「先輩、私の知らない人とキスしてたの」
死んだ声が出た。
目の前の宮舘くんは目を見開き「は…？」と声を漏らす。
「なんだよ、それ…」
「私さ、多分遊ばれてた？のかな。だってその人すごい綺麗だったんだもん。私なんかよりずっとずっと綺麗で可愛くて女の子らしくて。私ほんと悔しくてね、でもどうしたらいいか分からなくて」
何を口走っているのだろうか。
自分でも言っていて意味が分からなくなってきた。
それでも私の意と反して涙が溢れてくる。
まずい、堪えなきゃと思うのに。
頬に流れた時にはもう遅くて。
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作者名：ガム | 作成日時：2022年9月25日 15時
