５６ ページ7
.
「バカだよね、一年も付き合ってたのにこうやって浮気されちゃうなんて。……宮舘くんにも迷惑かけちゃったし」
「ごめんね」と。
そう半分まで言いかけたその時。
宮舘くんは立ち上がって、私の手を引いた。
よろめいた私を受け止めるように、また抱きしめられる。
ギュッと、それは強くて。
「謝ることないよ。Aは何も悪くないじゃん、ね？」
あまりにも優しい声にさらに涙が溢れた。
宮舘くんの肩口に顔を埋める。
.
しばらく宮舘くんに縋るように泣き続けてしまった。
その間もずっと彼は背中をさすってくれて。
やっと泣き止んだ私を見て、宮舘くんはそっと囁いてくれた。
「顔上げれる？」
この泣き顔見られたくない。
そう思っていると、そっと距離を離され頬に手が添えられる。
「っはは、目の下真っ赤。冷やすもの欲しいでしょ」
「…見て欲しくなかった」
「パジャマ姿の時も同じこと言ってたね」
肩を揺らし笑う宮舘くん。
頬を手で撫でられ、目を細めてしまう。
「Aがプレゼント買いに行った場所、俺の最寄り駅でよかった」
「知らなかった、私の最寄り駅の二駅先なんだね」
「あ、そうか知らなかったのか」
「宮舘くんは私の家知ってて私は知らなくてフェアじゃないって思ってたから、知れてちょっとラッキーだった」
またクスクス笑う宮舘くんにムスッとした顔をする私。
すると手は離れていき、今度は私の頭の上に乗った。
「ねぇ、笑って。今日会ってから一回もAの笑顔見てないんだけど」
よしよしと子供のように撫でられ、余計に不機嫌になる。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 604人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ガム | 作成日時：2022年9月25日 15時
