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｢なんて顔をしてるんですか｣
後輩の声に、私は思わず顔に手を当てた。
そんな、変な顔なんてしてたのかな、顔に出るくらいにそれが大切な写真になってたんだと思うと少し苦しくなった。
きっと今ので後輩に、そのカメラの中の人物が私にとってどんな存在なのかはバレてしまっただろう。
｢その様子やと消し忘れとかや無くて、消せないんですよね｣
｢うん、そう。そうだよ。惨めったらしくて、未練がましいよね｣
消せなかった物がある。
初めて鳥井くんをしっかりと認識した、あの桜の降る教室で撮った写真。
そして、鳥井くんへの恋情。
馬鹿すぎて、から笑いがこぼれた。
目の前の後輩には、今の私はどう映ってるんだろう、酷く滑稽だろうか、怖くて顔あげれないや。
｢今でもレンズ越しに、笑う彼が見えるの｣
恐る恐る顔を上げると、後輩は私を見て笑ってる……なんてことは一切なくて。
──どうして、君がそんな顔をするの。
無気力な表情は無くて、何かを耐えるようにちょっと苦しそうな顔がそこにはあった。
きっと普段の後輩なら私を小馬鹿にして笑ってくるのに、なんて思いながら私はその表情から目が離せなくなった。
私から顔を逸らすように視線を下げるとひとつ息を零して、ゆっくり顔を上げた後輩にはさっきまでの表情は一切なく、もういつもの表情に戻っていて。
今度は私が顔を逸らすように視線を下げた。
｢…いいんですか、ほんまに消して｣
｢いいの。この思い出は……ずっと私の心の中に残ってるから｣
パシャリ、シャッター音が響く。
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ねこ(プロフ) - なおさん» ありがとうございます！感じ取っていただきたい所をしっかりと受け取っていただけて素敵な言葉で表現してもらえて凄く嬉しいです^^最近は全然更新できていないですが、他の作品も楽しんでいただけますと幸いです。素敵なコメントありがとうございました！ (2022年9月14日 17時) (
レス) id: add6e87120 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - 何回でも読みたい名作です…！！本当に、この作品にあえて良かったです、めちゃくちゃ好きです、ごめんなさいちょっと月並みな言葉しか出てこないのですが、こう、お互いの思い出をガラスの壊れ物みたいに大切にそっと保管している感じが凄く凄く好きです！！！！！ (2022年9月13日 1時) (レス) id: 86416f4ec4 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - 碧さん» わわ〜！嬉しいお言葉ありがとうございます！私も切なめなお話が好きですのでまた新しいものを書くと思いますのでその時は読んで下さると嬉しいです;;励みになります:) (2022年2月15日 22時) (レス) id: add6e87120 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - こういうお話がめちゃくちゃ好きです！悲しいけど悲しいだけじゃない…みたいな。この作品は完結しましたが、他の作品もご自分のペースで頑張ってください！これからもリピートさせていただきます！ (2022年2月15日 8時) (レス) @page12 id: 6906dcd87d (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - 未読さん» 細部まで読みとっていただけてとても嬉しいです！こちらこそありがとうございました^^ (2022年2月5日 9時) (レス) id: add6e87120 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねこ | 作成日時：2022年1月15日 8時
