ジャスライク プリンス(PNK) ページ19
2日目。
やっぱり買い物！ってなった夕紀に涼介は優しく微笑む。
「あのさ。僕、ゲーム見たいから難波行ってもいい？」
「別にいいけど…」
「ありがと！Aも借りてくよ。そっちもその方がいいでしょ？また連絡するから。じゃあね」
あれよあれよと私は知念くんに袖を掴まれて、先に心斎橋で降りる夕紀と涼介を見送った。
「A足痛いでしょ」
「え？！」
実は、履きなれてないスニーカーで踵にマメが出来ちゃって
ホテル出る時からずっと我慢しながら歩いてたんだ。
知念くん…気づいてくれた。
「せっかくだからお笑いみない？」
「え、」
知念くんの口から『お笑い』？！意外すぎる！
「みたい！近くに劇場があるの？」
「多分…こっち？」
知念くんと大阪の街をゆっくり、ゆっくり歩く。
時々立ち止まってスマホを確認して…
知念くんの少し後ろにいる私を振り返って呟く「こっちで合ってる」
そんな知念くんが可愛い。
きっと私が痛い足を引きずって歩き回らないで済むように、座ってゆっくりできるように。
今まで気付かなかった優しさが見えてきた。
『ジュース飲みたい。涼介買ってきて』
『疲れた、休みたい。涼介ベンチ確保してきて』
『トイレどこ？涼介探してきて』
『お腹空いたー。涼介先に買っといて』
思えば昨日のテーマパークでも、私が少し休憩したいなとか喉乾いたなとか思った時に知念くんは涼介をおつかいに出してた。
全部涼介使ってるとこが知念くんっぽいけど。
「はい、着いた！ちょうどもうすぐ始まるみたい」
「ありがとう」
それは連れてきてくれてありがとうじゃないよ？
足のこと、昨日のこと、そして私が今まで気づいてこれなかった知念くんの気遣い。
全部全部ありがとう。
できるだけこの思いが伝わりますように。
「うん、可愛い。Aはそうやって笑ってた方が可愛いよ」
「えっ」
「にやつかない！きもい！笑顔とにやけ顔は違うから」
「すみません…」
:
:
知念くんもお笑いを楽しんでたみたい。
明日は足じゃなくて筋肉痛でお腹が痛くなりそうだな。
2人でにこにこ劇場を出るとそこには少し怒った顔の涼介。
いくつかショッパーをぶら下げた夕紀。
「電話したんですけどー」
「…あ！ごめん気付かなかった！」
確かに2回着信が入ってる。
にこにこだった知念くんの顔が途端に険しくなった。
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作者名：もぶ | 作成日時：2017年1月24日 15時
