ジャスライク プリンス(PNK) ページ18
どこでどう間違ってしまったのか。
シャワーに手を伸ばす。
いや、"間違い"ではない!
夕紀が涼介のこと好きっていうのは初めから分かってたし、涼介繋がりで友達になれたんだし、好きになることに"間違い"なんてないんだし!
でも、最後のアトラクションまでは全然普通だったのに。
エントランスをくぐってホテルに向かう頃にはラブラブな2人だった。
一体いつ2人がくっついたんだろう。
今回の旅行でこうなるかなーとは思ってたんだよね。
熱い熱いシャワーを頭から被ると思考の奥へ潜り込んだ。
「そこに水置いといたよ」
「ありがと。珍しいね」
「僕だって気が利くことくらいできますよ」
知念くんはスマホを充電器に繋げると部屋の電気を消して私をベッドに押し込めた。
ちょっと、ちょっと待ってよ!え、え、え!
「別に何もしないし。早く入って?僕が寝れないでしょ?」
「あ、はい」
宣言通り、2人の間には微妙な空間が生まれた。
できるだけ動かないように、知念くんを起さないように。
変な力が入っちゃって寝られない。
「女の子って計算高い生き物だよね。夕紀ちゃんはこうなるって分かっててダブルにしたんだと思うよ」
ベッドに入ってだいぶ時間が経ったからもう寝てるもんだと思ってた知念くん。
いきなり喋り出して思わず肩が跳ね上がった。
「涼介と付き合えて、僕と部屋交換して、そういうことに持ち込もうって気満々だよね。なんで涼介は夕紀ちゃんを選んだんだろう。女の姉妹いてそーゆーの分かってるはずなのに」
「もう、いいよ。いいから。ありがとね、知念くん」
枕にじわじわと涙が染み込む。
いいんだよ、涼介のことは早々に諦めてたの。
いつだったかな『友達から恋人になることなんてない』って涼介が話してるのも聞いてた。
涼介の隣が似合うのはこんな私じゃなくて可愛い夕紀。
「ものすごい失礼なことだと思うんだけどさ、僕は夕紀ちゃんのよさがこれっぽっちも分からない」
私たちの微妙な空間に知念くんの体温を微かに感じた。
「Aも分かってたんでしょ?ダシにされてるって」
そんなこと百も承知だよ。
でも夕紀は友達だから。
無理してるわけじゃないよ。
涼介のことも夕紀のことも大切。
ただ、頭で分かってても心が追いつかなくて。
「大丈夫だよ、明日も楽しもう」
...
「Aおはよー!」
「おはよ!あれ?なんかいつも以上に肌ツヤいいけど…?」
「あはははは!帰ったらたくさん話聞いてね!」
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作者名:もぶ | 作成日時:2017年1月24日 15時