令和から来た私だけど、まぁとりあえず鬼殺隊には入るよね 弐

肆拾漆　音がした ページ7

善逸side


「意外と美味しかった…。
善逸くん焼くの上手だね、私こういうの全然やった事ないから助かったよ。」


「え〜？えへへぇ、そんなこと言ってもらえるなら何匹でも焼くよ〜。」




褒められた、今ならなんでも出来る気がする。

うん、気がするだけで多分無理なんだけどね。

Aちゃんってば、食べてる時ほとんど無表情なのに、びっくりするぐらい嬉しそうな音させて食べるから、俺もめちゃくちゃ気分がいい。




「じゃあAちゃん！寝てていいよ！」


「でも鬼来るかもしれないよ？」


「大丈夫！俺は耳がいいんだ、鬼が来たら分かるから、起こすよ！」




たとえ眠っても、鬼が近くに来たらその音で起きれるから大丈夫。

起きないって選択肢はない。

俺だって死にたくないし、Aちゃんを守りたい。

逃げの一択だけど………………。




「へぇ、すごいね…。
そんな凄いのに、鬼は倒せないの？」


「うっ…だ、だって俺は弱いんだ、それもありえないくらいさ。
そりゃ、情けないとは思うよ？でも仕方ないんだ怖いし…。
俺、女の子によく騙されて借金してたり、耳が良すぎて気持ち悪がられたり、でもそんな俺を爺ちゃんが助けてくれたんだ。
助けてくれた爺ちゃんは育手で、俺も爺ちゃんに助けられた恩を返したくて、たくさんたくさん練習したりしたけど、全然ダメなんだ。
型ひとつしか使えないし…。
だ、だから！俺は全然ダメなんだよ、泣いてばっかりで情けなくて、おまけに弱くて、よく騙されて…。」


「ダメじゃないでしょ。」




不思議そうな音がした。




「え…？」


「だってさー、魚こんなに美味しく焼いてくれたし。
それは、私にできないことだし。
耳が良くて気持ち悪いってなに？
全然気持ち悪くないよ、むしろ凄いことじゃん、誇っていいよ。
よく騙されるからダメだって言うけど、悪いのは騙される方じゃなくて、騙す方だし。
それにさ、型ひとつしか使えないからダメだなんてそんなのおかしいよ、別にいいじゃん、使える型がひとつでも。
そりゃ、バカにされたりするかもしれないけど、それが自分なんだって、そのひとつにたくさんの力を込めたんだって。
そうやって思ってればいいんだよ。
あとね、善逸くん全然弱くないよ。
だってさっき鬼がいた時、私が気づかれないようにって守ってくれようとしたじゃん。」


「でも俺には……木から降りて戦う勇気なんてなかった…。」


「あははっ！そりゃそうだ！怖いもん！」

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