平成精神病院 . 地下閉鎖病棟 第２棟

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(中島side)




突然、院長に呼ばれ院長室に向かうことになった。

普通病棟を歩いていると、後ろから声を掛けられた。




　『ゆーとせんせ！』


　「ん？あぁ！久しぶりだね、元気だった？」




声を掛けてきたのは俺がこっちの病棟で働いてた時の同じ病棟の患者だった。

ここへ来た時、この女の子は小柄で小さかったのに。
今は背も伸びて、順調に生活しているみたいだ。

青いリボンのついたぬいぐるみを右手で抱いている。




　『せんせーは、どこで働いてるの？』


　「んー、ちょっと特別なところかな。そろそろ戻らないと先生に怒られちゃうよ？」


　『あ、ほんとだ、もうこんな時間！ばいばい、ゆーとせんせ！』


　「うん、バイバイ！」




走っていなくなったその子は一度振り返ってまた俺に手を振った。

んー、あの子の名前……なんだっけ、記憶力薄れちゃってるなぁ。
一年以上前のことだし、覚えてなくても当たり前かな。


不意に左を見ると、外には綺麗な花が咲いていた。

……花？あ、思い出した。あの子の名前。




　「……華ちゃんだ」




１人で納得して院長室へ向かった。

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