第103話 二分の一を外すタイプ ページ17
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伏黒「アイツ、少年院の特級と同じだ」
「片方は宿儺の指を取り込んでるってことか…」
どこまでも禍々しく、ケタケタ笑う呪霊のオーラには覚えがあった気がするが、伏黒の言葉で確信に変わった。少年院の特級と直接会ったことはないが、宿儺という呪いの王者ならではの気配なら数度感知済みだ。
となると、もう一体は宿儺の指に誘き寄せられた呪霊なのだろう。けれど不気味を纏う佇まいからして相当な化物であることに違いない。
途方も無く悍ましい呪いが目の前に二体も現れ、仲間割れしてくんないかな、と期待を込めて見守っていたい所だけれど現実は泣き出したい程に甘くなく、気付けば身体は宙を舞って壁とエンカウトしていた。
「今日の運勢一位だったのに…」
痛む全身が途切れかけていた緊張感を引き戻し、軽口を叩きながらも視界には憎き呪霊を映す。どうやら私に狙いを絞ったのは宿儺の指に誘き寄せられた方の呪霊らしかった。
伏黒には心配するなと手で合図を送り、直ぐさま追って来た呪霊に反射で刀を振り下ろす。当然避けられるのは想定していたので、その隙に幻で視覚を奪い、たじろぐ呪霊の背後から攻撃を叩き込んだ。
「コイツは私が祓うから伏黒はそっちお願い」
倒れた呪霊を足で踏み付け、目に垂れかけた血を拭いながら伏黒に手短に告げる。彼なら大丈夫という信頼を込め、改めて踏み付けている呪霊を見下ろした。
感じた気配からして相当強い筈であるのに、こうもあっさり片付くのは違和感でしかなく、だかソレの正体も分からないので面倒が起きる前にと素早く止めを刺したものの…既に遅く、ドロリと溶けて消えたのだ。
分身…分裂?類のタイプなのだろうか。
「面倒なの引いちゃったなぁ…」
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作者名:柊ひな | 作成日時:2021年2月26日 21時