【銀魂】今日もお江戸は平和です ８

第三百五十二訓 ページ30

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薄い青に程良く白が散りばめられた空の下、正午過ぎの賑わう街並みを風を切って通り過ぎ、周囲の好奇な目に嫌気が差しながらもただひたすらに先を行く長髪男を追いかける。



「待てェェェ！！桂ァァァァ！！！」



ここぞとばかりに普段出さぬ大声を発して喉を酷使する追いかけっこを、かれこれ十五分は続けている。


「フハハハ！！どうした真選組ィ！！そんな調子では俺は捕まらんぞォ！！」と振り返って煽る野郎に、通り掛かった八百屋のスイカや家電量販店の店先に並ぶ扇風機を投げ付けたりなどして足止めしようと策を練るが結果虚しく功を成さず、寧ろ周囲からの怒号が飛んできたので全てを桂の所為にしてまた口を開く。



「死ねェ桂ァァァ！！」

「総長ォ！！余計な被害増やさんで下さい！！」
「Aさん大声で暴言はマズいですって！！街の人達からの評判がまた下がります！！」
「これ以上落ちたら洒落ならないっスから！！」

「石田彰はエヴァンゲリオンに帰れ！！」

「エヴァもダメです！！シンジ君がさらば言っちゃいましたから！！もう完結しちゃいましたから！！」



逃げの小太郎こと桂小太郎を追う傍ら、何故私達が死に物狂いで奴を捕らえようとするのか話そうと思う。


事の始まりは、四週間前の朝礼。


今に始まった訳ではない世間からの真選組への悪評を好感に塗り替えようと唐突に近藤さんと土方さんが立ち上がり、打ち出してきた案＿"桂逮捕強化月間"。

その名の通り桂の逮捕に本腰を入れる一ヶ月で、有名人な奴を捕らえれば我々の人気向上を図れると思ったのだろう。


チンピラ警察24時、税金泥棒、法に縛られたヤクザ、超大型巨人etc…etc…数々の名で揶揄されてきたが、始めて理解が及ばなかった超大型巨人の由来ついては暫く考えた結果、歩く度に物や家を破壊してしまうから付いたとの結論につい十分前に至った。


近藤さん曰く、最近はその悪評にも拍車が掛かっており、とっつぁんに「存亡の危機だぞ」と低めに脅されたらしい。涙声だったから本当なのだろう。


桂逮捕は無理だと諦めていた派の私だが、血眼になって追っているのは真選組を憂いての事ではない。

…見事逮捕した者には、給料アップが施されるのだ。



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