第三百二十五訓 ページ3
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近藤さんの提案で、土方さんに小姓がついた。
それに伴って土方さんの表情が日増しに険しくなり、喫煙量が増えた気がするが、気のせいだとやり過ごし早数日。
普段と変わらぬ業務を熟し、私に害が及ばなくて良かったと最低な安堵と共に食堂に足を運ぶと、いつもの女中の姿がなく、代わりに小姓である彼の姿が。
「土方さん…まさかとは思いますが女中が休みの間、小姓に配給係やらせるつもりですか」
土方「しゃーねェだろ」
「厨房がニューヨークスタイルなんですけど。帰ってきた女中腰抜かしますよコレ。『あら?私達、間違えてニューヨークに来ちゃったのかしら?』みたいな」
土方「だからしゃーねェっつってんだろ。お前は細けェことに一々文句ばっか言い過ぎなんだよ」
「だって山崎、ポケットにカレー入れられてるんですよ。どんな配給の指示出したんですかアンタ」
土方「……」
気付けば屯所内に入っていた二人の仲間と共に、ノリ良く「「「Fu〜!!」」」とハイタッチする彼、基鉄之助。
配給係なら雑用と大差ないのでは?と思っていれば、次は私がカレーをよそってもらう番に。
彼等によそわれてはカレーに何をされるか分かったもんじゃないが、ここまで並んでしまったなら仕方ない。潔く諦め、嫌々頼んだ。
「鉄、早クヨソッテコイヨ!」
鉄「なっ、なんで俺が…」
「好キナラ好キッテ言ッテコイヨ意気地ナシ〜!」
鉄「ばっ、おま、そんなんじゃねーし!!」
「…何?コソコソしてないで早くしてもらえる?」
頼んだ途端にそっぽを向いた彼等がそんな会話をしてるとも知らずに急かすと、もじもじした鉄が漸くやって来て。
有り得ない位小さな声で「…どぞ」と一杯のカレーをよそった。態度は難ありだが、山崎と違い普通によそってもらえたので大目に見よう。
「あ、福神漬けももらえる?あれ好きなんだよね」
鉄「…す、好きっ!?」
「何変ナ勘違イシテンダヨ!オ前ニ言ワレタ訳ジャネーゾ!!」
「早クヨソッテヤレヨ鉄〜!!」
鉄「わっ、わーってるよ!うっせェなァ!黙ってろ!
……ど、どど、どうぞ……」
「鉄、顔赤クネ?アイツ照レテンジャネ?」
鉄「だァからそーゆーのやめろよォ!!」
「「「ヒュ〜ヒュ〜!!」」
鉄「ふっ、ざけんなってお前らさァ!マジで!!」
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柊ひな(プロフ) - 夏空さん» 素敵なリクエスト本当にありがとうございます…!!!ミツバ姉様大すこ民の私大歓喜です。実は幼少期の話は来るべき時に原作軸に沿って書こうと温めているのでもう暫くお待ち下さい〜!ドS沖田君!!!(ドSとは言ってない)次巻是非書かせて下さい!! (2021年6月19日 19時) (レス) id: d757d08cdf (このIDを非表示/違反報告)
夏空(プロフ) - 柊ひなさん» ありがとうございます〜!個人的にミツバ編がドツボなので幼少期の沖田家での話って書けるでしょうか…?それと番外編でなくてもいいので沖田君との絡みをどこかで入れてくれると嬉しいです…! (2021年6月19日 10時) (レス) id: 45dbeb9083 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - 夏空さん» いえいえ!ここからで大丈夫です!どんな系統でも良いのでじゃんじゃんください…!! (2021年6月19日 8時) (レス) id: d757d08cdf (このIDを非表示/違反報告)
夏空(プロフ) - 柊ひなさん» あ〜見落としてました申し訳ないです…!Twitterはやってないのでできればこちらからできると嬉しいのですがどうでしょうか…。 (2021年6月19日 5時) (レス) id: 45dbeb9083 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - 夏空さん» ありがとうございます(爆泣)常にネタ渇望中なので寧ろリクエスト超×100嬉しいです!実はTwitterを始めまして(五百五十七訓にリンクあります…)そこでの滞在時間が長いのでそこから頂けると気付きやすいのですがこちらからでも全然大丈夫です!私なんかで良ければ是非! (2021年6月18日 23時) (レス) id: d757d08cdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊ひな | 作成日時:2021年1月14日 0時