第三百三十六訓 ページ14
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まさか堂々と、それもこんなに愉快な口説き方をされるとは思わず笑いが込み上げてきてしまうが、口元に手を添えて何とか堪える。
昔のことをどうやって調べたのかは知らないが、名門なことに加えて、エリート警察の権限を使えば容易に出来てしまうのだろうか。
プライバシーという言葉を辞書で調べて三回程マーカーを引いて欲しい所だけれど、先ずは笑顔で「勧誘なら間に合ってますので」とキッパリ断る。
「そもそも"磨けば光る原石"なんて安い勘違いをしている時点で貴方は論外。私は元から輝く金剛石です。眼鏡の度数、調整なさっては?」
「では、失礼します」と頭を下げ、言いたい放題に気持ちは伝えられたので、相手が兎や角述べる前にその場を後にする。
堅苦しい空間を出ると気負っているつもりがなくとも肩の荷が下りたような気がして、無意識的に溜まったのであろう疲労を伸びで消そうとすれば、誰かの背にゴツンと鼻をぶつけた。
曲がり角でぶつかるなんてどこの少女漫画だ、と思いつつ、痛む鼻を抑え「すみません…」と相手を見上げれば「金剛石っつーか苔じゃね?」と栗毛頭が舐めたことを口走っていた。
「何で先に帰った筈の汚垂れ石が…」
沖田「認知度が低い石で貶すのはやめてくだせェ」
「何で先に帰った筈の男性用小便器の下に貼られてるあの他と色が違う石が…」
沖田「分かりやすく言い換えろとは言ってねェ」
私がぶつかった相手とは運が良いのか悪いのか、汚垂れ石兼、沖田総悟だった。
何故あんな所にいたのか理由を尋ねつつ厳重に警備されていた建物の外に出ると、鬱陶しい紫外線が容赦無く肌に降り注ぎ、眩しく照り付けるソレに反射的に目を細める。
沖田「旦那がいねェことに気付いて引き返してみりゃおもしれェことが起きてたんで、ネタに繋がると思って傍観してやした」
「最初から聞いてたなら颯爽と現れる王子様みたいに私を助けてくれても良かったんじゃないの」
沖田「そんな少女漫画チックなことしてアンタとフラグでも立ったらどうすんでィ。俺を犯罪者にするつもりですか」
「そんなに嫌か?」
沖田「つーか、ンな真似したら俺がキャラ崩壊するじゃないですかィ」
「お前のキャラ設定最低だな」
総悟の発言により旦那がこの場にいないことに気付くも、あの人を佐々木殿と二人っきりで放置させた所で部外者なのだから私達に害は及ばないだろう。
……というか、今更引き返すのが面倒だ。
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柊ひな(プロフ) - 夏空さん» 素敵なリクエスト本当にありがとうございます…!!!ミツバ姉様大すこ民の私大歓喜です。実は幼少期の話は来るべき時に原作軸に沿って書こうと温めているのでもう暫くお待ち下さい〜!ドS沖田君!!!(ドSとは言ってない)次巻是非書かせて下さい!! (2021年6月19日 19時) (レス) id: d757d08cdf (このIDを非表示/違反報告)
夏空(プロフ) - 柊ひなさん» ありがとうございます〜!個人的にミツバ編がドツボなので幼少期の沖田家での話って書けるでしょうか…?それと番外編でなくてもいいので沖田君との絡みをどこかで入れてくれると嬉しいです…! (2021年6月19日 10時) (レス) id: 45dbeb9083 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - 夏空さん» いえいえ!ここからで大丈夫です!どんな系統でも良いのでじゃんじゃんください…!! (2021年6月19日 8時) (レス) id: d757d08cdf (このIDを非表示/違反報告)
夏空(プロフ) - 柊ひなさん» あ〜見落としてました申し訳ないです…!Twitterはやってないのでできればこちらからできると嬉しいのですがどうでしょうか…。 (2021年6月19日 5時) (レス) id: 45dbeb9083 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - 夏空さん» ありがとうございます(爆泣)常にネタ渇望中なので寧ろリクエスト超×100嬉しいです!実はTwitterを始めまして(五百五十七訓にリンクあります…)そこでの滞在時間が長いのでそこから頂けると気付きやすいのですがこちらからでも全然大丈夫です!私なんかで良ければ是非! (2021年6月18日 23時) (レス) id: d757d08cdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊ひな | 作成日時:2021年1月14日 0時